2025年11月14日号2面 金融庁、「人的資本開示」拡充求める、新たに人材戦略明記
金融庁は人的資本開示の拡充を上場企業へ求めていく。2026年3月期の有価証券報告書から新たに、企業戦略と関連付けた人材戦略を明記し、平均年間給与の増減率を開示するよう見直す。情報開示の質を向上させることで、投資家と企業の対話促進を目指す。
有報での人的資本開示を巡っては、2023年3月期から女性管理職比率や男性育休取得率、男女間賃金格差などの定量的な開示について義務化された。ただ、投資家からは「人材戦略と企業戦略のつながりが見えない企業が多い」という指摘もあり…
2025年11月14日号3面 金融機関、金利上昇で利益“明暗”、収益構造の違い影響
金利上昇局面に入り金融機関の増益ペースに業態間格差が生じている。国内金利上昇の恩恵を受けやすい大手行や、非金利収入の増加などが目立つ地域銀行では、当期純利益の上昇ペースが加速している。一方、円建て債券の含み損処理が利益を押し下げている協同組織金融機関は横ばいが続く。「金利ある世界」で広がる収益力の違いは、人材確保など組織運営にも影響を及ぼす恐れがある。
「金利ある世界」の定着で、金融機関の利益水準は上方シフト。日本銀行の調査・分析によると、3メガバンクなど大手金融グループの当期純利益は2024年度に約4兆5千億円となり…
2025年11月14日号4面 広島銀行、M&A部隊倍増 30人に、件数増やニーズ多様化
【広島】広島銀行は、取引先のM&A(合併・買収)を支援する部隊を増やす。現中期経営計画の最終となる2028年度までに30人体制としたい考え。中計を開始した2024年度に比べて2倍の陣容になる。プロパー行員を育成するほか、メガバンクや会計事務所などの経験者を採用し体制を強化する方針だ。
清宗一男頭取が11月5日、広島市内で明らかにした。清宗一男氏は「M&Aは今後、ディールの規模が拡大し、件数も増えることが確実だ。現状は(支援部隊を)18人体制としているが…
【写真】「地域貢献大賞(中国・四国)」授与式に出席した広島銀と日本M&Aセンターの関係者(11月5日、広島市内)
2025年11月14日号8面 特集 海事都市・愛媛にみる船舶金融
【高松】海に囲まれた島国で、海上輸送による輸出入が99%に上る日本。海事産業の重要性は高く、その中核を担うのが海運会社だ。愛媛県は世界有数の海事クラスターとされ、海運会社が有する国内3977隻の約35%にあたる1385隻(2024年12月末時点)が県内に集中する。ただ、海運市況の好不調の波は激しく、業界を取り巻く環境が厳しさを増すなか、金融機関による支援の重要性も高まっている。船舶金融において先駆的存在である伊予銀行と愛媛銀行の取り組みを見た。
■融資量の25%占める
海運業は、船舶の運航を担うオペレーター(傭船(ようせん)者)に船を貸し出して得る傭船料が主な収益源。新造船や中古船といった船舶の購入を…
2025年11月14日号15面 特集 「STATION Ai」1年、新興支援の現在地、個社へ踏み込む姿勢を
【名古屋】スタートアップ支援拠点として国内最大級の施設「STATION Ai」が名古屋市で開業して1年がたつ。入居企業は600社。新たなビジネスに挑戦するスタートアップと事業会社が出会い、数多くのビジネスが生まれてきた。当地で成長するスタートアップの現状や金融機関に求める支援を探った。
■率先し商談提供
STATION Aiには、最高位スポンサーとして3メガバンクや十六フィナンシャルグループ(FG)が名を連ねる。ほかにも多くの地域銀行や信用金庫が活動中だ。みずほ銀行は同行の…
【写真】1000人以上が集まった三菱UFJ銀行と愛知県信用金庫協会共催のスタートアップサミット(7月17日)
2025年11月14日号16面 第四北越FG、女性リーダー育成、意見交換し体験共有
【新潟】第四北越フィナンシャルグループ(FG)は10月28日、米菓製販の亀田製菓(新潟市)など地元・新潟県内企業4社と共同で、女性従業員の活躍やキャリアアップ、社外ネットワークの構築などを後押しする異業種交流研修会を開催。各人が仕事上の体験談などを語り、互いの優れた姿勢や努力について意見を交わした。
水産練り製品の一正蒲鉾(新潟市)、導電・絶縁などの電子部品材料を手がけるナミックス(同)、商品パッケージ印刷・加工のプラスパッケージ(新潟県三条市)と合わせた計5社から…
【写真】仕事上の実体験などを披露しあう参加者(10月28日、亀田製菓本社)
2025年11月14日号17面 高松信金、獅子舞の文化継承、香川と富山を結ぶ
【高松】全国屈指の「獅子舞王国」――。高松信用金庫(高松市、大橋和夫理事長)は、香川県で盛んな伝統芸能「獅子舞」の支援に乗り出した。全国に誇れる文化だが、県内外で知られていないのが悩み。持ち前のネットワークで支援に奔走し、認知度の向上を狙う。
香川の獅子舞は約400年以上の歴史をもつ。一時は約1200組いた獅子組だが、近年は担い手不足の影響で約800組まで減少。文化継承に取り組む団体から相談を受けたことを機に…
【写真】イベントでは約50組の獅子組が迫力ある演舞を披露した(11月2日、高松市内)
2025年11月14日号18面 百五銀行四日市西支店・松本支店、若手の心支え融資拡大
渉外集約効果で成果
【名古屋】「何でも相談できる先輩が身近にいて心強い」と、百五銀行四日市西支店・松本支店(坂部竜也支店長=行員56人、うち渉外担当10人)の若手行員が話す。同店は、同行初の法人拠点集約パイロット店として若手中堅行員の人材育成を主体とした支店運営を実践。渉外集約により情報力に厚みが出たメリットと若い機動力を生かし、事業承継などで成果を上げる。
2025年3月24日に松本支店と統合した。元々の松本支店を松本プラザ出張所へ店舗形態を変更。百五銀行が新中期経営計画で掲げた法人拠点集約の第1弾となった。通常、人員が削減されることが多いが…
【写真】個社別方針会議では若手から活発な意見が飛び交う(10月29日、百五銀行四日市西支店)