2025年12月5日号2面 中小企業庁、信用保証に新制度、保証料引き下げ予兆管理
中小企業庁は、2026年3月にも新しい信用保証制度を設ける。金融機関と信用保証協会、税理士などの士業が連携し、中小企業の予兆管理の強化を目指す。保証を受ける企業が財務情報などを提供することで、保証料を引き下げる仕組みにする。 中小企業支援で国の認定を受けた税理士などが、信用保証付き融資のモニタリングを行う制度を創設する。税理士は毎月、財務・経営状況を企業から聞き取り、資金繰りの状況をまとめて年1回程度、金融機関と信保協に報告する。資金繰りの悪化や経営に支障が生じた場合などは…
2025年12月5日号3面 金融機関、「インパクト」施策発信、自社や取引先の価値向上へ
金融機関は、社会に好影響を与える自社や取引先による取り組みの情報発信を強化する。地域企業が実践するプロジェクトへの資金調達支援やコンサルティング支援にとどまらず、その活動で地域・環境に与えた好影響のPRまでサポートする。自金融機関と取引先の企業価値向上や採用力強化などを狙う。農林中央金庫は次のサステナビリティ報告書などで、各支店の取り組みを開示する方針だ。 農林中金は、農林水産業の持続的な発展という観点から、社会へのインパクトを重視した取り組みを展開してきた。高松支店では四国電力が立ち上げた農業事業において…
2025年12月5日号4面 地銀、オウンドメディア活用、新たな顧客接点創出へ
地方銀行で、新たな顧客との接点の創出や地域活性化に向けて、オウンドメディアを活用する動きが拡大している。お金にまつわる知識をまとめて金融商品の推進につなげるほか、地元情報を発信して観光振興を目指す銀行などがある。メガバンクが運用に力を入れるなか、本格的に活用する地銀は全体の3割弱に広がってきた。 企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するメンバーズ(東京都)が調査した。オウンドメディアに累計20本以上記事があり、直近1年以内に記事の更新があるサイトをオウンドメディアと定義。全61行中18行が運営していた。担当者は…
2025年12月5日号5面 筑邦銀行、農家の承継に新スキーム、サポート不足分野に挑む
【福岡】筑邦銀行は、農家の事業承継支援に本腰を入れる。これまで同分野の事業承継は、知見や人手不足を理由に支援が手薄だった。農業のコンサルティングを手がけるFOODBOX(東京都)と案件の探索から事業価値向上までの仕組みを構築し、2026年度中に第1号の成約を目指す。 「農家には定年退職がなく辞め方がわからない。“引退迷子”とも言える」。FOODBOXの中村圭佑社長は農家の実情を語る。現役中に事業譲渡を相談できる先も少なく… 【写真】農家の課題について情報交換する中村圭佑・FOODBOX社長(左)と筑邦銀行アグリチームのメンバー(11月12日、本店)
2025年12月5日号8面 松井証券、SNS使い訴求力向上、YouTube公式 登録者数50万人突破
松井証券は、動画サイトを起点としたSNS戦略で訴求力を高めている。YouTubeの公式チャンネルでは11月5日、登録者数50万人達成を発表し、総再生数は1億4千万回を超えた。幅広い層が資産運用を学べる動画を提供するほか、会員限定動画による口座獲得にも注力している。 2022年設立の投資メディア部が主体となり、動画の企画・制作などを推進する。YouTubeでは、バラエティー風の親しみやすい動画を投稿する初・中級者向けのメインチャンネル、上級者向けのサブチャンネルを展開。メインチャンネルの視聴者層は30~50代が半数以上… 【写真】社内スタジオでの撮影風景(11月17日、松井証券本社)
2025年12月5日号9面 特集 首都圏と地方結ぶ、新興支援の新モデル
交通と金融の力で共創へ 【仙台】東京と世界をつなぐ玄関口のJR高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)。ここにオープンしたビジネス創造拠点「TAKANAWA GATEWAY Link Scholar’Hub(LiSH)」で、大企業やスタートアップ、研究機関、支援機関が交わり、新たな共創を生み出し始めた。運営主体のJR東日本は、鉄道会社としての強みを生かした「多様なプレーヤーが集まるエコシステムの構築」を起点に、国内の産業振興に向けた広域連携を狙う。こうした取り組みに金融機関も参画し、スタートアップ支援や地域活性化へ活動の輪を広げている。 ■交流と実証実験する場 車両基地だった広大な土地の利活用策として、高輪ゲートウェイシティ構想は始まった。その一端を担うLiSHは、企業規模や業種を超えた交流と実証実験の場。2025年3月のまちびらきから現在、金融機関や投資家9先も含む約150先(12月1日現在)が入居する。 三菱UFJ銀行営業本部運輸セクター部の岡田牧郎部長は… 【写真】LiSH Lab内の拠点で情報交換をするACP事業部の伊藤奎晟マネージャー(左)とリピドームラボ東京オフィス管理責任者の石川将己・研究開発リーダー(9月12日)
2025年12月5日号19面 大分銀行、学生と探る地域の魅力、現場巡りアイデア創出
【福岡】銀行員も地域活性化に携わることができる――。大分銀行は、大学の寄付講座を通じ、銀行と地域の関わりを学生に伝える。2021年度から、立命館アジア太平洋大学(別府市)で大分県の地域づくりを考える講座を開講。地域創造部地域活性化グループの富永有香さんは、第1回受講生で、講座をきっかけに銀行が地域活性化に携わっていることを知り、入行を決めた1人。5回目となる2025年度は講師を担当。その挑戦を追った。 講座は、県内の自治体でフィールドワークを行い、観光で利益を生む仕組みを考えてもらう全7回の講義。富永有香さんは2025年7月から、本格的に準備。対象地域の大分県中津市と玖珠(くす)町、各営業店と連携。地域ガイド選定や車両手配などを調整した。フィールドワーク先には… 【写真】学生に伐株山の山頂の地形を教える富永有香さん(左、10月29日、玖珠町)
2025年12月5日号20面 北洋銀行倶知安支店、外国人が根付く活動展開、地域との懸け橋に
【札幌】北洋銀行倶知安支店(石田恭太支店長=行員18人うち渉外5人。嘱託1人、パート5人)は、世界有数のパウダースノーを誇る国際リゾート地「ニセコエリア」に立地。訪日外国人の増加や外資系企業の進出でにぎわうなか、「地域と外国人の関係が希薄」といった課題も顕在化。外国人経営者が根付くための支援を広く展開し、魅力ある地域づくりに貢献する。 同エリアでは2003年ごろから外資系企業・団体による投資が進んでいるが、2023年10月に着任した石田恭太支店長は「地元住民や企業との交流は限定的で、地域への貢献が十分認知されていない」と実感。資金が潤沢な企業も多いなか「融資以外にも役立てることはある」と考え… 【写真】ホリデーニセコを訪問し、アシュリー・ニコルズ代表(右)と情報交換する石田恭太支店長(中央)、融資課の天谷一調査役(10月30日、北海道倶知安町)