2025年10月24日号2面 住宅ローン、物件高騰で長期・大口化、利上げ耐性にもろさ
金融界で、現役世代の利上げ耐性への懸念が強まっている。個人向け貸出の大半を占める住宅ローンは、物件価格の上昇で借入額の大口化が進み、返済期間が長期化。借入当初の金利は、固定型に比べて低利な変動型の契約割合が拡大している。日本銀行による段階的利上げ局面で、家計の利払い負担増が景気を下押しするリスクが高まっている。
住宅金融支援機構が4~5月に実施した調査では、返済期間が「35年超」の割合は…
2025年10月24日号3面 みずほFG、現役世代の資産に照準、楽天証券と職域強化
みずほフィナンシャルグループ(FG)は楽天証券との連携を通じ、グループの法人顧客基盤を生かして“現役世代”の資産運用に照準を合わせた取り組みを強化する。みずほ銀行は、11月から企業従業員向けの「職場つみたてNISA(少額投資非課税制度)」に着手。みずほ証券が95%、楽天証券が5%出資する金融商品仲介業のMiRaIウェルス・パートナーズ(MiRaI)では、40~60代を軸とした資産運用相談を展開。2026年3月末までに預かり資産残高100億円の達成を掲げる。
新たに提供予定の「職場つみたてNISA」では、同行の法人営業担当者が取引先企業に…
【写真】運用の相談を受けるMiRaIの高野翔太部長(10月16日、大手町ファーストスクエア)
2025年10月24日号5面 肥後銀行、顧客区分、残高から嗜好へ、ニーズ起点の営業強化
【福岡】肥後銀行は、ニーズ起点のリテール営業を強化するため、顧客セグメントの見直しや営業部門の組織改革を進める。顧客区分は、多くの銀行が採用する取引残高別から、嗜好(しこう)や思考別への転換に着手。組織改革では、10月に営業統括部をマーケティング部に改称した。
これまで同行は、個人顧客を取引残高別に分類し、営業推進の重点先を…
2025年10月24日号7面 豊橋信金、PFI 信金トップ級、単独融資の実績も
【名古屋】豊橋信用金庫(愛知県、山口進理事長)は、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)の融資実績で信用金庫トップクラスを誇る。本店を置く豊橋市をはじめ「営業エリアの近年の案件ほぼすべてに参加」(事業支援部)。自治体や企業への継続的な取り組みで獲得してきた。
同信金は2004年にPFIに参入。25年6月に契約を締結した湖西市学校給食センター整備・運営事業で、PFIの融資契約は12件目に…
2025年10月24日号8面 特集 島根銀・備前日生信金・広島みどり信金、「女性スポーツ」×金融
チーム支え、地元に活力
【広島】中国地区金融機関が野球やサッカーなど女性スポーツチームの活動をサポートしている。島根銀行のほか、備前日生信用金庫や広島みどり信用金庫が地元チームを資金面から支えたり、選手を正規雇用したりしている。課題も少なくないが、懸命にプレーする選手の姿は地域に好影響を与える。若者の域外流出など人口減少が深刻化するなか、スポーツを通じて地元を盛り上げようとする金融機関を取材した。
■資金面をサポート
ジェンダー平等の意識が高まったことを背景に、女性スポーツ市場は成長が期待される。パリ2024オリンピックでは史上初めて選手比率が男女同じになり注目を集めた。
備前日生信金と広島みどり信金は…
【写真】島根銀行サポーティングマッチの勝利をファンと喜び合うディオッサ出雲FCの選手(10月5日、浜山公園陸上競技場)
2025年10月24日号10面 特集 地方創生2.0に挑む(1)
政府は6月、「地方創生2.0基本構想」を閣議決定した。2014年から取り組んだ地方創生で、多くの優良事例は生まれたものの、普遍化には至らず、人口減少や東京一極集中の流れを変えられなかった点を踏まえたものだ。地方こそ成長の主役という考え方が強く打ち出されており、地域金融機関にも積極的な関与が期待される。これまでの取り組みで得られた知見も生かしながら、地方創生の取り組みを進化させる地域金融機関の事例をシリーズ(全6回)で紹介する。
■山形銀行、自治体との協働で活性化、課題解決を“業”に変える
【仙台】地域活性化の“切り札”として自治体との協働を掲げる山形銀行が、地方創生に向けた取り組みを本格化している。同行は、2012年に立ち上げた「山形成長戦略プロジェクト」で自治体と…
【写真】道の駅やまがた蔵王で観光ブランディングについて話す佐藤英司・山形銀行頭取(左)と長谷川正芳・表蔵王ベルタウン社長(9月11日、山形市内)
2025年10月24日号17面 鹿児島信金吹奏楽部創部90年、地域と奏でるハーモニー
世代結ぶ音の輪広がる
【鹿児島】鹿児島信用金庫(鹿児島市、市川博海理事長)の吹奏楽部が創部90周年を迎えた。これを記念して、12月に開催予定の同部チャリティーコンサートでは、県内の小学校から大学までの吹奏楽部の部員と一緒に演奏する企画を準備中だ。本番に向け、メンバーは休日に信金のバスで参加校を巡り、演奏を指導しながら交流を深めている。
創部は1935年7月ごろだという。発声映画の台頭で、無声映画のスクリーン横で演奏していた音楽家は仕事を失いつつあった。そこで…
【写真】(左上)吹奏楽コンクール九州大会で1位を獲得したメンバー(1943年10月、鹿児島信金提供)。(右下)介護施設での演奏会で入所者と交流する部員(3月15日、鹿児島県姶良市の介護施設「まほろあいら」、鹿児島信金提供)
2025年10月24日号18面 常陽銀行江戸崎支店、コメ業者へスピード融資、本部連携のコンサルも
常陽銀行江戸崎支店が中核を担う稲敷ブロック(松本雅史(まさちか)支店長=行員34人、渉外係8人)は、コメの価格高騰で資金需要の増加が予想されるコメ集荷業者の実態をいち早く把握し、スピーディーに融資を実行。2025年度上期は、仕入れ資金関連で前年同期比2先増となる9先へ約30億円融資した。法人取引先には、本部と連携し、持続的成長に向けた支援を行っている。
営業エリアはコメの産地。農業法人や民間のコメ集荷業者のほか、茨城県稲敷市に約1600ある法人先との取引増強に力を入れる。
コメ集荷業者への融資では…
【写真】渉外が集まり入念な打ち合わせを行う融資会議(10月8日、常陽銀行江戸崎支店)