2025年2月7日号1面 金融庁、マネロン検査手法 転換、対話軸に対策底上げ

2025年2月7日号1面 金融庁、マネロン検査手法 転換、対話軸に対策底上げ

 金融庁は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の検査手法を転換する。金融機関の対応が、マネロン対策ガイドラインに沿った態勢整備の段階から、自社でリスクを特定・評価し低減措置を講じているかを確認する「有効性検証」の段階に移っているため。従来のターゲット検査では、ガイドラインや「よくある質問(FAQ)」に記載された対応事項を「チェックリスト的に利用」(同庁関係者)し、行ってきた。今後は金融機関との対話を軸に、有効性検証の実態をモニタリングしていく。
 金融庁は1月下旬、今後の対話の目線やモニタリング手法など…

2025年2月7日号8面 特集 女性行職員の現在地(上)、現役572人と退職者の本音

2025年2月7日号8面 特集 女性行職員の現在地(上)、現役572人と退職者の本音

 登用進むも働きづらさ残る
 「女性行職員が求める働きやすさって何だろう」――。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントに配慮が必要な時代、上司が女性の悩みを聞き出したり、女性が本音を伝えることは難しい。金融界では、女性の役員・管理職登用や担当業務の拡大が進み、雇用確保の重要度が一層増している。女性の多様な働き方を実現できる職場環境とは。現役572人へのアンケートと退職者3人の声を基に、上・下にわたって、課題と対策を特集する。

 ■「ありがたい」職場の理解
 「働きづらさを感じることはありますか」の問いに52%が「いいえ」と回答。わずかに「働きにくい」と感じる48%を上回った。働きやすい点については「上司の理解があり…

 【写真】ルナルナオフィスについて話し合う名古屋銀行健康経営推進室の係長(左)と行内診療所の保健師(1月30日、名古屋銀行)

2025年2月7日号2面 日銀決定会合、金融機構局が全て出席、システム安定に目配り

2025年2月7日号2面 日銀決定会合、金融機構局が全て出席、システム安定に目配り

 日本銀行は年8回開く金融政策決定会合で、金融仲介活動や金融機関経営をモニタリングする「金融機構局」の出席頻度を増やし、金融システムへの目配りを強める。「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」をまとめる会合(年4回)に限られていた出席機会を全会合に広げる。3月18、19日に開く次回会合から毎回、同局幹部が参加し報告。金利上昇局面における金融機関の財務健全性などをマクロ的な視点で確認・議論する。
 「物価の安定」と「金融システムの安定」をマンデート(使命)とする日銀。ただ、最高意思決定機関である…

2025年2月7日号3面 銀行界、手形・小切手の全面電子化、2024年は削減目標比「61%」

2025年2月7日号3面 銀行界、手形・小切手の全面電子化、2024年は削減目標比「61%」

 紙の手形・小切手を電子データ化して送受信する電子交換所の交換枚数は2024年に1967万枚となり、前年からの削減枚数は目標としていた822万枚の61%となる501万枚だった。銀行界は26年度末までに紙をゼロ枚とする全面電子化を目指しているが、現状のペースで推移すれば「達成は困難」(銀行関係者)との見方が出ている。地方銀行や第二地方銀行は目標達成に向けて従来のサービスを見直し、他業態と連携するなど取り組みを加速する。
 電子交換所の交換枚数は、23年は2468万枚だった。全国銀行協会はその翌年以降、…

2025年2月7日号4面 四国銀行、M&A成約が最多・年20件、成長戦略型など多様化

2025年2月7日号4面 四国銀行、M&A成約が最多・年20件、成長戦略型など多様化

 【高松】四国銀行は、2024年度のM&A(合併・買収)支援成約件数が年間最多の20件に上る見込みだ。事業承継を含めた相談件数は年3千件に達し、これまでに後継者不足や他社への売却を検討する企業などの情報を蓄積。本部のM&Aチームが営業店との同行やリスト先への提案を進め、24年度は12月末時点で10件を支援。さらに年度内に10件を成約に導く。
 事業承継・M&Aは、09年から支援を本格化。情報のトスアップで…

人事施策

2025年2月7日号8面 特集 女性行職員の現在地(上)、現役572人と退職者の本音

2025年2月7日号8面 特集 女性行職員の現在地(上)、現役572人と退職者の本音

 登用進むも働きづらさ残る
 「女性行職員が求める働きやすさって何だろう」――。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントに配慮が必要な時代、上司が女性の悩みを聞き出したり、女性が本音を伝えることは難しい。金融界では、女性の役員・管理職登用や担当業務の拡大が進み、雇用確保の重要度が一層増している。女性の多様な働き方を実現できる職場環境とは。現役572人へのアンケートと退職者3人の声を基に、上・下にわたって、課題と対策を特集する。

 ■「ありがたい」職場の理解
 「働きづらさを感じることはありますか」の問いに52%が「いいえ」と回答。わずかに「働きにくい」と感じる48%を上回った。働きやすい点については「上司の理解があり…

 【写真】ルナルナオフィスについて話し合う名古屋銀行健康経営推進室の係長(左)と行内診療所の保健師(1月30日、名古屋銀行)

2025年2月7日号16面 みずほ信託銀行 慣例、見直しませんか?事務行員が業務改革

2025年2月7日号16面 みずほ信託銀行 慣例、見直しませんか?事務行員が業務改革

 みずほ信託銀行は、法人営業でのミドルオフィス業務の見直しを進めている。展開する施策は、事務手続きの見直しや帳票のペーパーレス化、社内連携の改善など24項目に及ぶ。なかなか改善しなかった事務業務。見直しのきっかけは事務行員らの提案だった。
 「PDFの帳票をエクセルにできないか」。慣例で使用してきた帳票は…

【写真】業務改革プロジェクトの参加者ら(大手町タワー)

2025年2月7日号17面 玉島信金、コンプラ意識向上へ、詳細事例を月1発信

2025年2月7日号17面 玉島信金、コンプラ意識向上へ、詳細事例を月1発信

 【広島】玉島信用金庫(岡山県、宅和博彦理事長)は、マネーロンダリング対策やハラスメント対応、不祥事件などに関する内容をイントラネットで発信する。職員のコンプライアンス意識の向上が目的。毎月1日に詳細事例や対策を「コンプライアンス・ニュース」として発信。営業店の朝礼や勉強会で活用が広がっている。
 同ニュースの発信は2023年4月に開始し、2025年1月で第22号を迎えた。総務部戦略的法務室が作成し…

 【写真】コンプライアンスニュースの事例(玉島信金提供)

2025年1月24日号7面 全信中協、「再就職支援」を始動、業界外への人材流出抑制

2025年1月24日号7面 全信中協、「再就職支援」を始動、業界外への人材流出抑制

 全国信用組合中央協会は3月1日、個別信組の職員が転居する場合などに転居先の地域にある信組への再就職を後押しする仕組みを始動する。名称は「しんくみ再就職支援ネットワーク」。人手不足が深刻化するなか、業界外への人材流出を防ぐのが狙いだ。利用者は自身のスキルやキャリアを継続でき、受け入れる側の信組にとっても即戦力を確保できるメリットがある。
 対象者は、結婚や配偶者の転勤、介護などを理由に転居が必要な信組職員。すでに退職している元職員も…

2025年1月24日号16面 伊予銀行、汎用型インターン拡充、内容多様化で採用強化

2025年1月24日号16面 伊予銀行、汎用型インターン拡充、内容多様化で採用強化

 【高松】伊予銀行は、「汎用(はんよう)型能力インターンシップ」で採用を強化する。地域創生やグローバルビジネスなど、通常型インターンシップとは一線を画した幅広いテーマで実施。大学生の就職活動事情の変化で、約85%が参加を考えるなどインターンシップの重要性は増しているため、内容の多様化で人財獲得の間口を広げる。
 インターンシップは、半日程度で銀行業務を学べる通常型に加え、…

【写真】デジタルインターンシップで練ったアイデアの発表会に向け練習する学生ら(24年12月27日、本店)

2025年1月24日号17面 ひろぎんHD、障がい者対応力向上、合理的配慮研修など

2025年1月24日号17面 ひろぎんHD、障がい者対応力向上、合理的配慮研修など

 【広島】ひろぎんホールディングス(HD)は、障がいがある人に対する顧客対応力を高める。適切な配慮の提供やグループ全体のサービス向上などを目的として、グループ全社員を対象にeラーニングでの講習を実施。1月からは傘下の広島銀行の営業店に勤務する行員向けに、障がい対応の知識を学べて身体的な体験ができる「合理的配慮研修」を開く。
 2024年4月に障害者差別解消法が改正され、障がい者に対して業務上必要な範囲で対応する「合理的配慮」を求めることが民間事業者にも義務化されたことで…

 【写真】アイマスクをつけて階段を下りるなどの体験をする参加者(1月14日、ひろぎんキャリア共創センター)

2025年1月10日号7面 特集 3メガバンク アートで価値創る

2025年1月10日号7面 特集 3メガバンク アートで価値創る

 見る人の感性を刺激し、想像力をかきたてる「アート」。その価値は単純に数値化できない領域で、金融ビジネスとは対極にも思われていた。しかし、前例に捉われない自由な発想が企業に求められるなか、3メガバンク(グループ)はその可能性に目を向け始めた。社員や顧客を巻き込んだ独自のアートプロジェクト(イベント)をコーディネートする社員3人に迫った。

 ■ アートד壁” 多様な「思い」を一つに
 みずほフィナンシャルグループ コーポレートカルチャー室インターナルコミュニケーションチーム 櫛渕莉絵さん(写真)
 「企業理念の表象として社員の記憶の片隅にでも残るものを」――。2023年6月、壁画でみずほのパーパス(存在意義)を表現する「WALL ART PROJECT」の運営メンバーに着任。経営層、社内公募選抜の社員10人と…

2025年1月1日号19面 肥後銀行、行員家族の健康促進へ、健保とPFSは全国初

2025年1月1日号19面 肥後銀行、行員家族の健康促進へ、健保とPFSは全国初

 【福岡】肥後銀行は、全国で初めて「企業・健康保険組合の共同発注型PFS事業」に取り組む。同行と同行健康保険組合、くまもと健康支援研究所の3者が連携し、行員とその家族の健康増進を通して、生産性やエンゲージメントの向上を狙う。
 PFS(Pay for Success)とは、民間事業者などに業務を委託し、その報酬を成果に連動させることで改善効果の向上を目指すもの。今回のスキームは…

法令制度政策

2025年2月7日号1面 金融庁、マネロン検査手法 転換、対話軸に対策底上げ

2025年2月7日号1面 金融庁、マネロン検査手法 転換、対話軸に対策底上げ

 金融庁は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の検査手法を転換する。金融機関の対応が、マネロン対策ガイドラインに沿った態勢整備の段階から、自社でリスクを特定・評価し低減措置を講じているかを確認する「有効性検証」の段階に移っているため。従来のターゲット検査では、ガイドラインや「よくある質問(FAQ)」に記載された対応事項を「チェックリスト的に利用」(同庁関係者)し、行ってきた。今後は金融機関との対話を軸に、有効性検証の実態をモニタリングしていく。
 金融庁は1月下旬、今後の対話の目線やモニタリング手法など…

2025年2月7日号2面 日銀決定会合、金融機構局が全て出席、システム安定に目配り

2025年2月7日号2面 日銀決定会合、金融機構局が全て出席、システム安定に目配り

 日本銀行は年8回開く金融政策決定会合で、金融仲介活動や金融機関経営をモニタリングする「金融機構局」の出席頻度を増やし、金融システムへの目配りを強める。「展望レポート(経済・物価情勢の展望)」をまとめる会合(年4回)に限られていた出席機会を全会合に広げる。3月18、19日に開く次回会合から毎回、同局幹部が参加し報告。金利上昇局面における金融機関の財務健全性などをマクロ的な視点で確認・議論する。
 「物価の安定」と「金融システムの安定」をマンデート(使命)とする日銀。ただ、最高意思決定機関である…

2025年1月31日号2面 中企庁、マッチングサービス始動、企業の補助金情報活用へ

2025年1月31日号2面 中企庁、マッチングサービス始動、企業の補助金情報活用へ

 中小企業庁は、事業者が申請した補助金情報などのデータベース「ミラサポコネクト」の活用を本格化する。第1弾として、経営課題を抱える企業とその解決策を持つ支援機関をつなぐプラットフォーム「成長加速マッチングサービス」を3月上旬にも始動させる。成長志向がある企業の課題解決を図るとともに、地域銀行や信用金庫・信用組合を中心とした支援機関による新規顧客の獲得を後押しする。
 成長加速マッチングサービスは、まず企業が資金調達や経営相談など、…

2025年1月31日号3面 日銀、再利上げ 0.5%に、中立金利まで「相応の距離」

2025年1月31日号3面 日銀、再利上げ 0.5%に、中立金利まで「相応の距離」

 日本銀行は1月23、24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導水準を「0.25%」から「0.5%」程度に引き上げる方針を決めた。利上げは2024年7月以来、4会合ぶり。政策金利の水準は約16年ぶりの高さ。中村豊明審議委員は再利上げに反対した。植田和男総裁は会合後の会見で、日銀の見通しに即して経済・物価情勢が進展した場合、「金融緩和度合いを調整していく」と訴え、段階的な利上げスタンスを継続した。
 会合結果を伝える声明文と同時に公表した展望レポート(経済・物価情勢の展望)では、…

【写真】会見する植田総裁(1月24日、日銀本店)

2025年1月17日号1面 警察庁、高齢者のATM利用制限、「75歳・30万円」に軟化

2025年1月17日号1面 警察庁、高齢者のATM利用制限、「75歳・30万円」に軟化

 警察庁は、75歳以上がATMを利用する場合、1日当たり30万円を超える現金引き出しや口座からの振り込みを制限する方向で調整に入った。2024年度中にも内容を固める。同庁は75歳以上の利用者本人が制限の解除を求めてきても、原則認めない方針とみられる。例外的なケースについては、要件を今後詰める。
 関係者によれば、警察庁は当初、65歳以上とし、…

2025年1月1日号13面 与党、税制改正大綱を決定、「年収の壁」20万円引き上げ

2025年1月1日号13面 与党、税制改正大綱を決定、「年収の壁」20万円引き上げ

 与党(自民党・公明党)は2024年12月20日、25年度の税制改正大綱を取りまとめた。年収が103万円を超えると所得税がかかり始める「年収103万円の壁」について、控除額を計20万円引き上げる。金融庁が要望していた新たな少額投資非課税制度(NISA)の利便性向上や企業年金・個人型確定拠出年金(iDeCo)の見直しに関連する施策も大綱に盛り込まれた。
 現行の所得税では、基礎控除額「48万円」と給与所得控除額「55万円」を…

【写真】税制調査会の総会であいさつする後藤茂之税調小委員長(24年12月20日、自民党)

2024年12月20日号1面 金融庁、業界横断の懇談会設置、内部監査レベルアップへ

2024年12月20日号1面 金融庁、業界横断の懇談会設置、内部監査レベルアップへ

 金融庁が、金融業界全体の内部監査の高度化を促すため、業界横断の懇談会を近く立ち上げることがわかった。預金取扱金融機関のほか、証券会社、保険会社など幅広い業界団体が参画する見通し。内部監査に関する「段階別評価」の定義の明確化や実務上の課題について半年間議論し、2025年6月以降に報告書を取りまとめる。
 同庁は19年6月に「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」を…

2024年12月20日号2面 特許庁・中企庁、中小の知財活用後押し、連携強化し課題把握へ

2024年12月20日号2面 特許庁・中企庁、中小の知財活用後押し、連携強化し課題把握へ

 特許庁・中小企業庁は、中小企業の知的財産活用を後押しするため連携を強化する。特許庁が、工業所有権情報・研修館(INPIT)などと構築する「地域知財経営支援ネットワーク」に中企庁が12月4日から新たに参加。中小企業による知財活用の拡大に向けた課題把握のほか、同ネットワークが一体で事業者を支援するための仕組みの検討を進めていく。
 特許庁、日本弁理士会、INPIT、日本商工会議所の4者は2023年3月、…

経営

2025年1月31日号1面 金融界、BCP見直し急務、目的不明のDDoS多発

2025年1月31日号1面 金融界、BCP見直し急務、目的不明のDDoS多発

 金融界でオンラインサービスの停止に備えたBCP(業務継続計画)の見直しが急務となっている。大手行グループや他業界で2024年末から25年始めにかけて「DDoS(ディードス)」と呼ぶサイバー攻撃で、一時的にサービスが利用しにくくなる事案が相次いだため。NTTデータ経営研究所の大野博堂・金融政策コンサルティングユニット長は「バックアップへの切り替えができない場合を想定して、今一度手順のアップデートを図ることが目先で必要」と強調する。
 三菱UFJ銀行は24年12月26日、生体認証の仕組みを利用できなくなった。また、みずほ銀行は…

2025年1月31日号1面 岐路に立つ貸金庫ビジネス

2025年1月31日号1面 岐路に立つ貸金庫ビジネス

■金融庁、あり方検討、課題はマネロンリスク
 三菱UFJ銀行で発生した貸金庫からの窃盗事件に端を発し、金融機関の貸金庫ビジネスが岐路を迎えている。
 金融庁は、外部有識者の意見を踏まえ、今後の貸金庫業務のあり方について検討を始めた。課題は、マネーロンダリング(資金洗浄)との関係だ。三菱UFJ銀の元行員による貸金庫からの窃取事案を受け、秘匿性の高い貸金庫がマネロン対策におけるリスクとして…

2025年1月24日号1面 地域金融機関、難度増す国債運用、利回り、上方シフト加速

2025年1月24日号1面 地域金融機関、難度増す国債運用、利回り、上方シフト加速

 日本銀行が段階的利上げスタンスを継続するなか、債券運用の難易度が一段と増している。国内収益の割合が大手行に比べて高い地域金融機関では、投資妙味の増す国債運用への回帰が鮮明化。ただ、債券価格が幅広い年限で下がる利上げ局面では、含み損拡大によって財務に打撃を与えるリスクもはらむ。金利見通しの正確性や運用の機動力・柔軟性が求められる。
 国債イールドカーブ(利回り曲線)は上方シフトが加速。…

2025年1月17日号8面 特集 期待高まる「信金の挑戦」、営業地域の持続性確保へ

2025年1月17日号8面 特集 期待高まる「信金の挑戦」、営業地域の持続性確保へ

 信用金庫によるサステナビリティ経営への期待が高まっている。近年は、2030年までに持続可能な社会を目指すSDGs(持続可能な開発目標)だけでなく、50年の脱炭素化社会の実現に向けた動きなど、意識すべき目標や社会からの要請が多様化。こうしたなか、各地域が抱える課題を理解し、それに応じて地方公共団体や中小企業などで足並みをそろえた施策を展開する必要性が高まっており、地域関係者をつなぐハブ機能を持つ信金の役割は大きくなっている。

 ■脱炭素で経済的価値提供
 信金中央金庫は2022年度から、2030年に目指す姿を示した業界独自のグリーン戦略「しんきんグリーンプロジェクト」を始動。2022年6月には全国信用金庫協会と信金中金が環境省と…

 【写真】信金中金のサステナビリティをテーマとした研修に参加する全国の信金職員ら(信用金庫会館京橋別館)

2025年1月17日号10面 改革の旗手 森嶋篤男・岐阜商工信用組合会長、初の優先出資完済に道筋

2025年1月17日号10面 改革の旗手 森嶋篤男・岐阜商工信用組合会長、初の優先出資完済に道筋

 【名古屋】日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、全国信用協同組合連合会を経て2014年に岐阜商工信用組合に入組。専務、理事長として、個ではなく「組織」として強い信組を目指し、改革を進めてきた。高めの金利でも積極的な融資姿勢で事業先を開拓、預貸率は70%を超える。全信組連からの優先出資完済も視野に入り、「『しょうしん』は再生モデルの一つ」と呼ぶ信組関係者もいる。

 ■「紆余曲折」の40年
 「40年で、ようやくちゃんとした金融マンになれました――」。
 2024年6月、8年務めた理事長職を細野克也氏に渡した総代会でのあいさつだ。稀有(けう)なキャリアを経て岐阜商工信組で中小企業金融を突き詰めた氏ならではの言葉だった。
 1978年東大卒業後に入行した日債銀では…

 【写真】金属加工業の工場を訪問する森嶋篤男会長。理事長時代に多くの経営者と親交を深めた(2024年11月14日)

2025年1月10日号7面 特集 3メガバンク アートで価値創る

2025年1月10日号7面 特集 3メガバンク アートで価値創る

 見る人の感性を刺激し、想像力をかきたてる「アート」。その価値は単純に数値化できない領域で、金融ビジネスとは対極にも思われていた。しかし、前例に捉われない自由な発想が企業に求められるなか、3メガバンク(グループ)はその可能性に目を向け始めた。社員や顧客を巻き込んだ独自のアートプロジェクト(イベント)をコーディネートする社員3人に迫った。

 ■ アートד壁” 多様な「思い」を一つに
 みずほフィナンシャルグループ コーポレートカルチャー室インターナルコミュニケーションチーム 櫛渕莉絵さん(写真)
 「企業理念の表象として社員の記憶の片隅にでも残るものを」――。2023年6月、壁画でみずほのパーパス(存在意義)を表現する「WALL ART PROJECT」の運営メンバーに着任。経営層、社内公募選抜の社員10人と…

2025年1月1日号10・11面 特集 預金で振り返る金融50年史 ~膨張する残高、底ばいの金利~

2025年1月1日号10・11面 特集 預金で振り返る金融50年史 ~膨張する残高、底ばいの金利~

 金利ある世界に回帰し、にわかに脚光を浴びる預金。「信頼・信用のバロメーター」も、その量は経済規模に比べて大きく膨らんだ。一方、金利は競争環境に入った「自由化」後に低下時代を迎え、0%台を這(は)う状況が長く続いた。本格的な金利上昇や残高減少がみられなかった預金市場。久しぶりのインフレ局面到来で政策金利が段階的に上がるなか、「預金とどう向き合うべきか」。昔と今をつなぐ量と金利の足跡が、金融機関経営における“これからの位置付け”に示唆を与える。

【写真】政策導入決定後の記者会見で、緩和効果を訴える黒田東彦前日銀総裁(16年1月29日)

2024年12月20日号7面 信組界、システム施策に現場の声、業界横断「御用聞き」始動

2024年12月20日号7面 信組界、システム施策に現場の声、業界横断「御用聞き」始動

 信用組合業界は2025年5月にも、中央組織の中堅・若手職員が全国の信組の声を拾う「史上最大の御用聞き」プロジェクトを本格始動する。全国信用組合中央協会と全国信用協同組合連合会、信組情報サービス(SKC)の職員がチームとなり、地域・業域・職域信組を訪問。現場の課題をヒアリングし、その解決に向けたシステム面の施策などの考案を目指す。
 3組織の20代後半から30代前半の職員計40人が9チームに分かれ、各地区を担当する。チームは…

手数料

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

 生命保険会社は2025年4月から、外貨建て一時払い保険などの販売手数料を見直す。販売1年目の手数料率は約半分に引き下げ、次年度以降の料率を引き上げる。現在の手数料体系は1年目の手数料を高めに設定する「L字型」が主流だが、来春以降はよりフラットに近いL字型になる。銀行などの販売会社に対し、保険契約者へのアフターフォローを促す動機づけとなる。
 生保各社は、具体的な手数料率の公表を控えている。…

2024年11月8日号1面 地銀など指定金、手数料徴収は道半ば、「ゼロ円」地公体 約4割

2024年11月8日号1面 地銀など指定金、手数料徴収は道半ば、「ゼロ円」地公体 約4割

 地方銀行など指定金融機関が税・公金収納業務の手数料徴収をめぐり、地方公共団体と交渉していた最新結果が明らかになった。窓口収納にかかるコストに対し、徴収している金額はいまだかい離があった。約4割の地公体で「ゼロ円」となっており、交渉の難しさが浮き彫りになった。
 全国銀行協会が、8月に実施した会員行への調査結果を…

2024年8月30日号1面 金融庁、外貨保険手数料にメス、生保の見直し状況検証

2024年8月30日号1面 金融庁、外貨保険手数料にメス、生保の見直し状況検証

 金融庁は、生命保険会社が金融機関代理店などに支払う外貨建て保険販売手数料体系の見直し状況を検証する。生命保険協会が4月に改正した同保険に関連するガイドライン(指針)への対応の進捗(しんちょく)度について、フォローアップを近く開始する。銀行窓販チャネルを主力とする生保8社が対象。指針改正を受け、各社は2025年4月をめどに手数料体系を見直す方向で最終調整しており、同庁もその動向を注視する。(関連記事3面)
 同庁は4月、…

2024年7月19日号1面 地銀など指定金、「振込手数料」交渉を継続、事務コスト負担で隔たり

2024年7月19日号1面 地銀など指定金、「振込手数料」交渉を継続、事務コスト負担で隔たり

 指定金融機関を務める地方銀行などは、地方公共団体と公金業務に関する手数料交渉を継続している。10月から公金振り込みに適用される内国為替制度運営費については、総務省が地公体の費用負担分(1件当たり62円)に対し、地方交付税の措置を講じることを決めており、指定金の事務コストの上乗せ額が争点だ。いったん合意したという地銀の関係者は「当初の提示金額と隔たりがあり、交渉を続ける」として長期戦も覚悟する。
 内為運営費は、振り込みを受け付けた仕向け銀行(指定金)から…

2024年3月29日号4面 百五銀行、公金手数料交渉が進展、三重県全自治体で有料化

2024年3月29日号4面 百五銀行、公金手数料交渉が進展、三重県全自治体で有料化

 【名古屋】百五銀行は、三重県内の地方自治体全30先で「公金手数料」の有料化が実現するめどが立った。公金の窓口収納や振込に関して自治体からの手数料を有料化する方向で地域銀行が交渉しているが、県内の全自治体が同じ手数料で一挙にまとまる好事例と言えそうだ。
 提案先は三重県と29市町。このうち指定金融機関は18先。振込1件当たりの手数料は、…

2024年2月16日号3面 総務省、内為運営費に交付税、地公体負担を軽減

2024年2月16日号3面 総務省、内為運営費に交付税、地公体負担を軽減

 総務省は、公金振り込みへの内国為替制度運営費の適用によって増える地方公共団体の負担を、地方交付税で軽減する。2024年度から、負担増加分に相当する金額を上乗せして交付する方針を固めた。地公体は指定金融機関に支払う手数料の財源を確保しやすくなり、負担を求める金融機関にとっても追い風になりそうだ。
 1月末までに、自治財政局財政課が負担分を地方交付税に上乗せする方針を各地公体に通知した。交付税は自治行政に求められる経費と不足分を…

2023年12月1日号1面 地域銀、公金手数料で合意相次ぐ、200団体が引き上げ承諾

2023年12月1日号1面 地域銀、公金手数料で合意相次ぐ、200団体が引き上げ承諾

 指定金融機関を務める地域銀行が、手数料引き上げ交渉で地方公共団体と相次ぎ合意している。関係者によると、十数行の地方銀行が公金振り込みに関する経費負担の見直しで、200近くの地公体から承諾を得たという。全国の地公体数は1700超。2024年10月から公金振り込みに適用される内国為替制度運営費(内為運営費)をめぐり、全国的に交渉が大詰めを迎えている。
 内為運営費は、仕向け銀行から被仕向け銀行に対して支払われる費用で、1件当たり62円。民間取引には21年10月から適用済みだが…

2023年11月24日号1面 地銀、税・公金収納で交渉増、コンビニから値上げ要請

2023年11月24日号1面 地銀、税・公金収納で交渉増、コンビニから値上げ要請

 地方銀行が、大手コンビニエンスストアから税・公金に関する収納手数料の引き上げ要請を受けていることがわかった。複数の関係者によると、各地銀を通じて地方公共団体向けにコンビニ収納サービスを提供する地銀ネットワークサービス(CNS)に対して、コンビニ側から手数料引き上げの意向が示されたという。CNSスキームではコンビニへの手数料は、回収業務を委託した地公体が最終的に負担する。料金を改定する場合、指定金融機関の各地銀が窓口となって、地公体の承諾を得る必要がある。
 CNSのコンビニ収納は、利用者がバーコードの印字された住民税や固定資産税などの払込取扱票をレジに持ち込み、納税する仕組み。受け付けは…

ネット・システム

2025年1月31日号1面 金融界、BCP見直し急務、目的不明のDDoS多発

2025年1月31日号1面 金融界、BCP見直し急務、目的不明のDDoS多発

 金融界でオンラインサービスの停止に備えたBCP(業務継続計画)の見直しが急務となっている。大手行グループや他業界で2024年末から25年始めにかけて「DDoS(ディードス)」と呼ぶサイバー攻撃で、一時的にサービスが利用しにくくなる事案が相次いだため。NTTデータ経営研究所の大野博堂・金融政策コンサルティングユニット長は「バックアップへの切り替えができない場合を想定して、今一度手順のアップデートを図ることが目先で必要」と強調する。
 三菱UFJ銀行は24年12月26日、生体認証の仕組みを利用できなくなった。また、みずほ銀行は…

2025年1月31日号17面 ゆうちょ銀行、「通帳アプリ」159万口座増、2025年度末1600万めざす

2025年1月31日号17面 ゆうちょ銀行、「通帳アプリ」159万口座増、2025年度末1600万めざす

 ゆうちょ銀行がスマートフォンの「ゆうちょ通帳アプリ」ユーザーを増やしている。2024年度は上半期だけで159万口座増え、登録数は1200万口座となった。使い勝手を良くし、ウェブ広告や全国2万4千拠点の郵便局窓口を活用しながら、2026年3月末までに1600万口座にする計画。こうした顧客基盤を、日本郵政グループのほか、連携先の多様な事業者との接点にもする方針だ。
 通帳アプリは20年2月にリリースした。機能は当初、残高と入出金の表示だけだったが、送金や定期貯金の預け入れ…

 【写真】ゆうちょ銀行の「ゆうちょ通帳アプリ」

2025年1月24日号8面 実像 信金クラウド化の幕開け、裾野金融・デジタル時代へ

2025年1月24日号8面 実像 信金クラウド化の幕開け、裾野金融・デジタル時代へ

 ITリソースを攻めに
 「中小企業を支える信用金庫だからこそ、きめ細かいサービス展開と生産性向上を確保したい」――。大手信金を中心に、基幹系やサブシステムの稼働環境を“クラウドファースト”にする動きが活発化している。水面下で議論を深める信金もあり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる。背景にあるのは、地域と共存共栄を深める変革への布石だ。

 ■創造的業務に注力へ
 信金は、業界のシステム関連会社で扱うシステムを利用することが多く、フルクラウド化を個別信金単体で進めにくい特性がある。そんななか…

2025年1月17日号2面 三井住友FG、生成AIが接客、効率化から価値創造へ

2025年1月17日号2面 三井住友FG、生成AIが接客、効率化から価値創造へ

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は生成AI(人工知能)を活用したビジネスモデル改革に注力する。なかでも有力視されているのは「アバター」によるソリューション提案だ。将来的に人の担当者とともに接客を担うようになる。これまで業務効率化を進めてきた生成AIが、表情豊かな分身を纏(まと)って新たな価値を創ろうとしている。
 三井住友FGは2026~28年度の次期中期経営計画期間までに生成AI分野へ500億円の…

【写真】三井住友銀の新型拠点「ストア」にアバターを設置。現状は簡単なQ&Aに回答する(イオンモール千葉ニュータウン)

2025年1月10日号8面 特集 今こそ注目!メタバース VRChat利用者増加

2025年1月10日号8面 特集 今こそ注目!メタバース VRChat利用者増加

 インターネット上の仮想空間、メタバース。数年前にすごく話題になったけれど、そういえばその後どうなった? 実は今、利用者が増えて大盛り上がり! ユーザー増加のきっかけは……宇宙人との出会い!? 2025年は、金融機関の新たなチャンスにもつながるかもしれないメタバースに注目してみましょう。

 ■ハードル高い オワコンなの?
 22年にバズったメタバース。FacebookがMetaへ社名変更したことで一気に注目が集まりました。
 しかしその盛り上がりは時とともにやや下火に。過熱感が平常化したともいえる一方で、メタバース利用者が一定数にとどまるという課題が浮き彫りになりました。背景にあるのは…

【写真】VRChatで交流するストリーマーのスタンミ氏(右)と一般ユーザーの所場氏(左)

2025年1月1日号5面 特集 迫る量子計算機の“脅威”、根底覆る暗号技術

2025年1月1日号5面 特集 迫る量子計算機の“脅威”、根底覆る暗号技術

 現在のコンピューターが行う演算処理の速度を飛躍的に上回るとする「量子コンピューター」の実用化が、着実に近づいている。金融界では、リスク評価や市場予測などを効率的に素早く算出できると注目してきた。一方、先端技術にありがちな悪用されるリスクもある。そこで議論が熱を帯び始めているのが、「耐量子計算機暗号(PQC)」への対応だ。悪用リスクへの備えとして、今するべきことをひも解く。

 ■「今収集し、後で解読」
 量子コンは、物質を構成する「量子」の特性を利用して従来型(古典)コンピューターよりも効率的に計算処理できると言われている。例えば「量子重ね合わせ」は…

 【写真】富士通は2024年8月、大阪大学量子情報・量子生命研究センターと量子コン実用化に近づく新技術を発表。日進月歩、性能強化が進む(2024年8月28日、川崎市)

2024年12月13日号5面 大垣共立銀行、アプリ利用 活発化、AIで顧客行動分析

2024年12月13日号5面 大垣共立銀行、アプリ利用 活発化、AIで顧客行動分析

 【名古屋】大垣共立銀行は、顧客の行動分析が可能なAI(人工知能)を活用し、スマートフォンアプリの利用を活発化させている。預金口座を確認するバンキングアプリの利用頻度の停滞に悩む地域銀行が多いなか、顧客データの分析で成果を上げる例は全国的にも珍しい。
 同行は、「OKBアプリ」でシンガポールの銀行ベンダーであるマネーソーのシステムを活用している。2021年6月に…

【写真】銀行向け説明会でプレゼンする大垣共立銀の担当者(右奥、11月27日、OKB Harmony Plaza 名駅)

2024年12月13日号6面 信金、投信窓販システムに新機能、電子署名で業務効率化

2024年12月13日号6面 信金、投信窓販システムに新機能、電子署名で業務効率化

 信用金庫で、投資信託の対面販売手続きを簡素化できるシステム「しんきん預かり資産ナビ」に、電子署名の機能を追加する動きが広がそうだ。11月29日に同機能の追加が可能となり、すでに16信金が申し込みを完了。そのうちの多くが2024年度末から25年度初めにかけて、顧客向けに機能提供を始める。少額投資非課税制度(NISA)拡充で投信ニーズが高まり業務負担が増えるなか、事務を効率化する。
 ナビでの投信口座開設や商品売買の際は、出力した紙に署名してもらっていたが…

預金

2025年1月17日号1面 預金獲得新時代(下)限られたパイ 争奪戦に

2025年1月17日号1面 預金獲得新時代(下)限られたパイ 争奪戦に

 競合金融機関が多い大都市圏では、地域金融機関を中心とした預金の争奪戦が激化している。人口減少や資金運用手段の多様化などを背景に預金の伸びは鈍化し、限られたパイを奪い合う時代が到来しつつある。(「預金獲得 新時代」取材班)

■相対で金利上乗せ提案
 地域金融機関に加え、三菱UFJ銀行も広く店舗を構える東海地区。…

【写真】キーエンス社のデータ分析ソフト「KI」で顧客データを分析する城南信金企画部の川口裕徳課長(左)と長岡恵二さん(24年12月12日、本部)

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

 金融界で、預金の一部が個人向け国債にシフトする可能性が浮上している。1月募集(2月発行)分の個人向け国債は、市場金利の上昇を受けて「固定3年債」が年0.62%、「固定5年債」が年0.77%となり、定期預金の金利を大幅に上回る水準になった。固定金利型の同債を追加購入したり、利率の低い既存債を中途解約して買い直したりする動きも出ている。
 1月募集の固定5年債は、「変動10年債」の年0.75%を上回り、…

2025年1月10日号1面 預金獲得新時代(中)デジタル普及で戦略多様化

2025年1月10日号1面 預金獲得新時代(中)デジタル普及で戦略多様化

 戻ってきた「金利ある世界」は金融機関にとっての“平時”だ。ただ、前回の利上げ局面(2006~07年)と比較し、地域の人口減少やスマートフォンをはじめとしたデジタル技術の普及などにより、社会環境は様変わり。各金融機関は、業態特性を生かした多様な戦略で収益を左右する預金獲得に挑む。(「預金獲得 新時代」取材班)

■60代もネット銀を選好
 「店舗を持つ金融機関と持たない金融機関が、同じ規制のもとで競争すること自体が厳しい」。ある信用金庫トップは、…

【写真】定積契約先で、住宅設備機器販売を手掛けるシンワアドヴァンスを訪問する上田信金本店営業部・川原柳支店の尾台修一支店長(左から2人目)と丸山翼支店長代理(左、24年12月18日、長野県上田市)

2025年1月1日号1面 預金獲得新時代(上)量と粘着性 両にらみ、顧客の行動分析に難しさ

2025年1月1日号1面 預金獲得新時代(上)量と粘着性 両にらみ、顧客の行動分析に難しさ

 2025年は、異なる業態間や近隣金融機関同士の預金争奪が激化する。「金利ある世界」では、預金のボリューム拡大が収益増強に直結するからだ。預金が右肩上がりで増え続ける時代は間もなく終わり、限られたパイを奪い合う構図となる。預金調達では「量」だけでなく「粘着性」も問われており、金融機関の戦略の違いが鮮明になりつつある。3回連載で預金獲得の今を追う。(「預金獲得 新時代」取材班)

■125兆円が地域間を移動
 日本銀行のマイナス金利政策解除は預金争奪戦の号砲となった。…

【写真】各金融機関が定期預金や年金定期の金利を優遇し取り込みを図る

2025年1月1日号2面 特集 大手4行 個人顧客との接点拡大、粘着性高い預金獲得へ

2025年1月1日号2面 特集 大手4行 個人顧客との接点拡大、粘着性高い預金獲得へ

 みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそなの大手4行は、新しいコンセプトに基づく次世代の拠点網構築を急いでいる。取引のオンラインシフトが加速するなか、個人向けの対面タッチポイントを充実させるのが狙い。30年間にわたって大手行の拠点数は減少の一途をたどっており、ファミリー層をはじめとする個人顧客との“つながり”を有人拠点で取り戻したい考えだ。

■取引からサポートの場に
 大手各行は近年、個人取引がオンラインで完結する仕組みを…

【写真】大手行が展開、構想する新形態・新デザインの個人専用店舗

2025年1月1日号10・11面 特集 預金で振り返る金融50年史 ~膨張する残高、底ばいの金利~

2025年1月1日号10・11面 特集 預金で振り返る金融50年史 ~膨張する残高、底ばいの金利~

 金利ある世界に回帰し、にわかに脚光を浴びる預金。「信頼・信用のバロメーター」も、その量は経済規模に比べて大きく膨らんだ。一方、金利は競争環境に入った「自由化」後に低下時代を迎え、0%台を這(は)う状況が長く続いた。本格的な金利上昇や残高減少がみられなかった預金市場。久しぶりのインフレ局面到来で政策金利が段階的に上がるなか、「預金とどう向き合うべきか」。昔と今をつなぐ量と金利の足跡が、金融機関経営における“これからの位置付け”に示唆を与える。

【写真】政策導入決定後の記者会見で、緩和効果を訴える黒田東彦前日銀総裁(16年1月29日)

2024年12月6日号6面 信金、8年ぶり復興応援定積、北陸に最大3億円超寄付

2024年12月6日号6面 信金、8年ぶり復興応援定積、北陸に最大3億円超寄付

 信用金庫業界は、能登半島を応援する定期積金の寄付スキームを活用し、北陸地区の復興を支援する。信金中央金庫が定期積金の取り扱いを全国の信金に呼びかけ、その預入額の0.25%相当額に、信金中金が拠出した6千万円を合算した最大3億1千万円を石川県内の6市町に贈る。業界連携で復興応援定期を活用して寄付するのは、2011年5月~16年3月末に東日本大震災の支援で実施して以来8年ぶりとなる。
 信金中金が10月末、募集総額1千億円の「能登半島復興応援定期積金」の取り扱いを開始した。期間は25年2月末まで。寄付金は3月に…

2024年11月22日号1面 潮目変わる個人預金、国内銀は伸び1%台、信金、初の前年割れ

2024年11月22日号1面 潮目変わる個人預金、国内銀は伸び1%台、信金、初の前年割れ

 増加を続けてきた金融機関の個人預金残高が潮目を迎えつつある。インフレ局面の継続や少額投資非課税制度(NISA)拡充で、低利の定期預金などに歩留まっていた資金が利回り優位の金融資産に流れているためだ。日本銀行の統計によると、国内銀行の9月末時点の年間増加率は1%台に鈍化。信用金庫の9月末残高は初めて前年同月を割り込んだ。経済・金融環境の変化が個人マネーの新たなトレンドを生んでいる。
 国内銀の個人預金残高は9月末で…

融資

2025年2月7日号7面 横浜信金、融資業務・1日90分短縮へ、制度見直しやシステム化

2025年2月7日号7面 横浜信金、融資業務・1日90分短縮へ、制度見直しやシステム化

 横浜信用金庫(横浜市、春日隆理事長)は2026年度までに、融資係や渉外係が融資業務で1日に費やす時間の90分短縮を目指す。決裁権限をはじめとした庫内制度の見直しのほか、システム導入による書類のデータ化などで、業務の効率化を進める。
 同信金は24年1月に「融資業務の実抜改善プロジェクト」を立ち上げた。融資部の職員を中心に各部署と連携しながら…

2025年1月31日号5面 住信SBIネット銀行、代理店で地方攻略、地場の不動産業を開拓

2025年1月31日号5面 住信SBIネット銀行、代理店で地方攻略、地場の不動産業を開拓

 住信SBIネット銀行は「FC代理店」を住宅ローンにおける地方攻略の鍵として全国に拡大している。同行の看板を掲げる代理店が、銀行本体では手が届かない地場の不動産業者を開拓し、業者からの紹介による住宅ローン契約の獲得を狙う。2024年9月末時点で50カ店のFC代理店を約200カ店に増やす方針を掲げる。
 年間1兆円以上の実行額を誇る同行の住宅ローンは、案件の大半が都市部に集中している。不動産デベロッパーや販売会社から住宅ローン契約者の紹介を…

【写真】住信SBIネット銀の看板を掲げるFC代理店(新宿ローンプラザ、1月27日)

2025年1月24日号2面 金融庁調べ、経営者保証なし融資拡大、2024年度上期、初の5割超え

2025年1月24日号2面 金融庁調べ、経営者保証なし融資拡大、2024年度上期、初の5割超え

 経営者保証に依存しない融資が広がりを見せている。金融庁の調査によると、2024年4~9月期の銀行などの新規融資に占める保証なしの融資割合は52%となり、初めて50%を超えた。同庁などが22年12月に「経営者保証改革プログラム」を策定して以降、金融機関で「保証の必要性を改めて検討した結果、そこまで必要のないものに対しては保証を取らないという融資慣行が根付いてきた」(同庁関係者)ことが背景にある。


 同庁が、銀行・信用金庫・信用組合の計531機関を対象に調査…

2025年1月10日号4・5面 特集 新春特別調査 利上げ交渉の今 短プラ連動、7割超が満足、「経験不足」影響は半数

2025年1月10日号4・5面 特集 新春特別調査 利上げ交渉の今 短プラ連動、7割超が満足、「経験不足」影響は半数

 日本銀行が2024年8月から政策金利を0.25%に引き上げたことを受け、金融機関は17年ぶりに短期プライムレートを改定し、貸出金利の引き上げ交渉が本格化している。ニッキンは金利引き上げ交渉の実情を探るため、地域銀行99行(24年11月時点)と現場の支店長を対象に特別調査を実施。短プラ連動貸出は順調に利上げが進んでいる一方、固定金利型貸出では難航する先が少なからずある実態が浮かび上がった。また、4割近い銀行が、日銀の追加利上げを見越し、市場金利連動の融資契約へシフトさせていく考えがあることも分かった。

■調査方法
 調査は24年11月中旬から12月下旬に実施。…

【写真】広島銀では金利上昇などをテーマとした行員向け勉強会(フリーカレッジ)を開催。対面・オンラインで希望者308人が参加した(24年5月18日、ひろぎんキャリア共創センター)

2024年12月13日号2面 銀行・信金、貸出金利 全業態で上昇、取引先“利上げ許容”

2024年12月13日号2面 銀行・信金、貸出金利 全業態で上昇、取引先“利上げ許容”

 日本銀行の段階的な政策金利引き上げの影響が、幅広い金融機関の貸出金利に波及している。日銀が毎月公表している「貸出約定平均金利」統計によると、10月末のストック(残高)ベースの同金利が全業態(都市銀行・地域銀行・信用金庫)において上昇基調に転じた。これまでは横ばい傾向だった信金でも、ひもづく法人融資の割合が大きい短期プライムレートの引き上げ効果が鮮明になりつつある。
 10月末の貸出残高における同金利は、都銀が…

2024年12月13日号4面 山陰合同銀行、仕組み金融 年1000億円増へ、東京の専門人員増強

2024年12月13日号4面 山陰合同銀行、仕組み金融 年1000億円増へ、東京の専門人員増強

 【広島】山陰合同銀行は東京市場を成長エンジンと位置付けて、ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)部門を強化している。東京営業本部を10月に新設。役員を常駐させて東京でのプレゼンテーション力を高めた。同部門は年間1千億円ペースで拡大する方針を打ち出している。
 東京では外国資本も参入して高層ビル建設など大型プロジェクトが増加している。メガバンクなどの組成する不動産ノンリコースローン、LBO(借入金を活用した買収)ファイナンスなどの一翼を担い…

【写真】東京営業本部内の連携を強化する景山常務執行役員(左から3人目、製粉会館ビル)

2024年12月6日号4面 東海地区地域銀行、住宅ローン競争が白熱、愛知・三河に注力、優良顧客を照準

2024年12月6日号4面 東海地区地域銀行、住宅ローン競争が白熱、愛知・三河に注力、優良顧客を照準

 【名古屋】東海地区の地域銀行が、住宅ローンで貸出金残高を伸ばしている。2024年度上期(4~9月)では、百五銀行が全国の地域銀で最も多く残高を増やした(ニッキン調べ)。実行額は減速傾向にあるものの、ターゲットは愛知県の優良顧客にシフト。獲得競争はさらに熱を帯びそうだ。
 東海3県地域銀グループ6社で、24年4~9月までの住宅ローン残高増加額は…

【写真】トヨタ本社につながる幹線道路沿いに複数並ぶ住宅展示場(豊田市)

2024年11月8日号2面 金融庁、外銀のシ・ローン参加へ、金融審で規制緩和を検討

2024年11月8日号2面 金融庁、外銀のシ・ローン参加へ、金融審で規制緩和を検討

 金融庁は、国内で組成するシンジケートローン(協調融資)に、国内に拠点を持たない外国銀行が参加できるよう規制を緩和する方向で検討を進めている。都銀懇話会の要望を受け、金融審議会の作業部会で具体的な議論が始まった。緩和されれば、国内企業の外貨資金調達力が向上することになる。
 グローバル企業では、欧米での大型M&A(合併・買収)案件の…

投信保険

2025年1月31日号6面 信金界、フルハップ連携が117信金、企業共済の販売拡大

2025年1月31日号6面 信金界、フルハップ連携が117信金、企業共済の販売拡大

 全国の信用金庫で、公益財団法人日本中小企業福祉事業財団(日本フルハップ、大阪市)の企業共済の取り扱いが拡大している。2024年4月から販売が始まり、25年3月末までに代理店契約を結ぶ先は117信金となる予定。直近では1月24日に多摩信用金庫(東京都)が販売を開始。4月以降も複数の信金が取り扱いを始める予定で、今後さらに広がる見込み。
 23年6月の中小労災共済法の施行により、信金や信用組合などでの中小企業向け共済販売が解禁。24年4月から全国信用金庫協会と日本フルハップが体制を構築し…

2025年1月31日号8面 投信、外株型へ流入加速、1月も前年超えペース続く

2025年1月31日号8面 投信、外株型へ流入加速、1月も前年超えペース続く

 投資信託市場で外国株式型への資金流入が続いている。2024年は上場投信(ETF)を除く公募株式投信全体の年間純資金流入額は23年比倍増の15兆3千億円と過去最高となったが、約6割が外株型で占めた。25年に入っても前年を上回るペースで流入しており、資金集中リスクを指摘する声もある。
 日本証券業協会の調査によると、証券会社10社(大手5社・ネット5社)の…

2025年1月10日号6面 特集 iDeCo拡充、推進好機に

2025年1月10日号6面 特集 iDeCo拡充、推進好機に

 制度拡充によって注目が高まる個人型確定拠出年金(iDeCo)。2025年度は税制優遇を受けられる拠出額の上限が引き上がる見通しだ。投資ブームに火を付けた新しい少額投資非課税制度(NISA)に続き、資産運用の浸透を加速させられるか。制度拡充のポイントと、顧客の資産形成サポートで特色ある金融機関を追った。
 「国民の安定的な資産形成に向けた重要なピース」――。全国銀行協会の福留朗裕会長は24年12月19日の定例会見で、iDeCo制度が拡充される方向になったことを歓迎した。
 24年3月末加入者が300万人に上るiDeCoは…

【写真】取引先の従業員向けに開いたiDecoセミナーで説明する横浜銀の行員(横浜銀提供)

2025年1月1日号7面 特集 変わる外貨建て保険、銀行窓販に大きく影響

2025年1月1日号7面 特集 変わる外貨建て保険、銀行窓販に大きく影響

 2025年4月から、銀行窓販の売れ筋商品「外貨建て一時払い終身保険」が大きく変わる。目標到達(ターゲット)型機能を廃止・制限する動きが広がり、販売金融機関が受け取る手数料率も見直されるためだ。発端は、銀行や保険会社の監督官庁である金融庁による指導だ。同庁は、ターゲット型の仕組みや販売時の手数料の高さが、顧客本位から逸脱した「回転売買」を招く原因になりかねないと懸念。それを踏まえ、2024年から生命保険業界が商品性の見直しに着手した経緯がある。

 ■仕組み債問題が波及
 金融庁は2024年4月、2023事務年度(2023年7月~2024年6月)の中間報告として、リスク性金融商品を販売する金融機関に対するモニタリング結果を公表。ターゲット型の問題点を指摘した。ターゲット型は…

 【写真】外貨保険は銀行窓販の売れ筋だ

2024年12月20日号16面 東証が全行調査、銀行、保有ETF4兆円へ、運用益狙い「高配当」注目

2024年12月20日号16面 東証が全行調査、銀行、保有ETF4兆円へ、運用益狙い「高配当」注目

 銀行が保有する上場投資信託(ETF)の残高が4兆円に迫ってきた。東京証券取引所が11月に取りまとめた「ETF受益者情報調査」によると、2023年と比較して2割増加。同月まとめたETF利用者へのアンケートでは、銀行の有価証券運用として「高配当ETF」の活用が増えている実態も明らかになった。
 ETFは信託報酬が低いことや、東証が運営するETF電子取引プラットフォーム…

2024年11月22日号15面 特集 2024年度上期の生保窓販実績、一時払い終身は22万件超

2024年11月22日号15面 特集 2024年度上期の生保窓販実績、一時払い終身は22万件超

 地域金融機関の2024年度上期「生命保険窓販実績」(回答ベース)がまとまった。地方銀行62行、第二地方銀行37行、2024年7月末で預金残高5千億円以上および販売実績がある86信用金庫を対象にニッキンが調査した。

 【終身保険】信金が件数大幅増加
 一時払い終身保険の販売件数(3業態合計)は、2023年度下期と比べ6%増の22万6293件だった。業態別では…

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

 生命保険会社は2025年4月から、外貨建て一時払い保険などの販売手数料を見直す。販売1年目の手数料率は約半分に引き下げ、次年度以降の料率を引き上げる。現在の手数料体系は1年目の手数料を高めに設定する「L字型」が主流だが、来春以降はよりフラットに近いL字型になる。銀行などの販売会社に対し、保険契約者へのアフターフォローを促す動機づけとなる。
 生保各社は、具体的な手数料率の公表を控えている。…

2024年10月25日号3面 一部地銀、保険商品を絞り込み、「選択と集中」で貯蓄性も

2024年10月25日号3面 一部地銀、保険商品を絞り込み、「選択と集中」で貯蓄性も

 一部の地方銀行で、保険窓口販売の取扱商品数を絞り込む動きが出てきている。従来は、主に医療保険やがん保険などの保障性商品が削減の対象だったが、地銀にとっての主力商品である貯蓄性の一時払い保険についても商品ラインアップを整理する流れが生じつつある。
 地銀の保険窓販では、顧客の資産形成ニーズを踏まえ、…

資産管理

2025年1月24日号4面 大手信託2行、不動産テックに出資、業界課題・協業で解決

2025年1月24日号4面 大手信託2行、不動産テックに出資、業界課題・協業で解決

 大手信託2行は、不動産テック事業を手掛けるスタートアップへの同時出資を通じて協業体制を築き、商業用不動産市場が抱える共通課題の解決に乗り出す。分散的に存在する物件データや、形式が不ぞろいのレポーティング資料といった情報の“壁”を洗い出し、デジタル技術を活用したデータの構造化や利活用環境の向上を検討していく。
 三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行は1月8日、大手デベロッパー出身者らが設立した「estie(エスティ、東京都)」と資本提携した。出資額は非公表だが…

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

 金融界で、預金の一部が個人向け国債にシフトする可能性が浮上している。1月募集(2月発行)分の個人向け国債は、市場金利の上昇を受けて「固定3年債」が年0.62%、「固定5年債」が年0.77%となり、定期預金の金利を大幅に上回る水準になった。固定金利型の同債を追加購入したり、利率の低い既存債を中途解約して買い直したりする動きも出ている。
 1月募集の固定5年債は、「変動10年債」の年0.75%を上回り、…

2025年1月17日号7面 信組、「相続信託」で預金流出防ぐ、防止実績・26億円超に

2025年1月17日号7面 信組、「相続信託」で預金流出防ぐ、防止実績・26億円超に

 信用組合業界で、遺言代用信託を活用して相続による預金流出を防いだ実績が積み上がってきた。全国信用協同組合連合会とオリックス銀行が2017年に共同開発した「しんくみ相続信託」の累計契約のうち、24年11月末までに相続による解約が33億7千万円(1334件)発生。その資金の約8割を占める26億5千万円(1034件)が、各信組の預金口座で受け取られていることがわかった。
 全信組連の担当者は「他金融機関への資金流出の防止に加え、次世代との取引のきっかけにもなっている」と強調する。現在の契約件数は…

2024年10月4日号3面 大手金融機関や運用会社、提携地域銀行の獲得が激化、ファンドラップ提供で

2024年10月4日号3面 大手金融機関や運用会社、提携地域銀行の獲得が激化、ファンドラップ提供で

 対面型ファンドラップサービスを外部提供する金融機関で、提携する地域銀行の獲得競争が激しくなりそうだ。先行する大手の証券会社や銀行が提携先を広げるほか、三井住友DSアセットマネジメント(AM)や三井住友信託銀行など新規参入も相次ぐ。地域銀ではファンドラップをストック型ビジネスの柱と位置づけ、採用を検討する動きが再び活発になっている。
 三井住友信託銀は2025年度、第四北越銀行に…

2024年10月4日号14面 夢育む資産形成コンサルタント 行動経済学

2024年10月4日号14面 夢育む資産形成コンサルタント 行動経済学

 顧客が感じる痛みの重さに寄り添う
 公益社団法人日本証券アナリスト協会は3月、個人顧客の預かり資産営業に携わる金融機関担当者を念頭に「資産形成コンサルタント資格」を創設。本コーナーではそのテキスト・問題集を基に金融・投資の基礎を学びたいと思う方々に関心のあるトピックスを紹介します。
 8月5日に起きた株価暴落。日経平均株価の下落率マイナス12.4%は、記録がある1949年以来では87年のブラックマンデーに続く大きな下落率でした。各メディアでは暴落にあぜんとする…

2024年9月20日号4面 みずほ銀行、預かり資産で僚店連携、ノウハウ共有・意欲向上

2024年9月20日号4面 みずほ銀行、預かり資産で僚店連携、ノウハウ共有・意欲向上

  【福岡】みずほ銀行は、西日本エリアで預かり資産業務の僚店連携が拡大している。現在、近隣店舗同士の複数ペアで、双方の業務をサポート。顧客サービス向上のほか、行員のスキルアップや意欲醸成につなげている。
 同行は、2023年から事務業務を僚店間で連携。その取り組みを店頭営業力強化の一環として…

2024年9月6日号10面 やさしいニュース解説 プロダクトガバナンスって何?

2024年9月6日号10面 やさしいニュース解説 プロダクトガバナンスって何?

 “製販”で最善利益めざす、投信の品質管理確立へ
 新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まり、生活者にとって投資が身近になりました。一方で「顧客への付加価値に見合った手数料が設定されていない」など金融商品の組成側の問題も指摘されています。そこで金融庁は今秋、投資信託などの組成会社と販売会社ともに顧客の最善利益を追求する「プロダクトガバナンス」の確立を求める方針です。そのポイントを紹介します。

 ■Q1.プロダクトガバナンスの内容と背景は?
 金融庁は「顧客の最善の利益に適(かな)った商品提供等を確保するためのガバナンス」と位置づけています。商品の組成から顧客への…

2024年8月16日号8面 大和証券G本社、WMビジネスで成果、コンサルツール活用が奏功

2024年8月16日号8面 大和証券G本社、WMビジネスで成果、コンサルツール活用が奏功

 大和証券グループ(G)本社は、富裕層向けのウェルスマネジメント(WM)ビジネスが着実に成果を上げている。最重要戦略として2024年度から新たに取り組んでおり、総資産コンサルティングツールを効果的に活用している。
 WM本部として…

【写真】「お客さまとともに二人三脚で資産を育てたい」と語る上野課長(左、7月25日、新宿支店)

取引先支援

2025年2月7日号4面 四国銀行、M&A成約が最多・年20件、成長戦略型など多様化

2025年2月7日号4面 四国銀行、M&A成約が最多・年20件、成長戦略型など多様化

 【高松】四国銀行は、2024年度のM&A(合併・買収)支援成約件数が年間最多の20件に上る見込みだ。事業承継を含めた相談件数は年3千件に達し、これまでに後継者不足や他社への売却を検討する企業などの情報を蓄積。本部のM&Aチームが営業店との同行やリスト先への提案を進め、24年度は12月末時点で10件を支援。さらに年度内に10件を成約に導く。
 事業承継・M&Aは、09年から支援を本格化。情報のトスアップで…

2025年1月17日号5面 きらぼし銀行、東京圏外で新興支援、名古屋に足がかり

2025年1月17日号5面 きらぼし銀行、東京圏外で新興支援、名古屋に足がかり

きらぼし銀行は、営業基盤である東京圏を超えた新興企業支援に挑んでいる。2024年10月に名古屋市内に開設されたスタートアップ企業育成拠点「ステーションAi」に東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)として加入。同拠点を足がかりに、今まで支援してきたスタートアップ企業の売り上げ拡大を目指すほか、中部地方でベンチャー企業との関係構築を図る。
 同行は月数回、東京の本部から同拠点に担当者を派遣。今後3年で…

2025年1月10日号9面 特集 伊予銀行・宇和島信金、変革迫られる養殖業を支援、「水産王国」愛媛守る

2025年1月10日号9面 特集 伊予銀行・宇和島信金、変革迫られる養殖業を支援、「水産王国」愛媛守る

 【高松】海面養殖業産出額で全国1位(2022年)を誇る「水産王国」の愛媛県。ただ、漁業従事者は2000年の1万2000人から、20年には5000人と半数以下に減少した。担い手の減少に加え、温暖化の影響による海水温度の上昇といった課題も深刻化している。地場産業を支え課題解決への取り組み姿勢を強める伊予銀行と宇和島信用金庫の取り組みを見た。

 ■強みは“宇和島モデル”

 愛媛県養殖産業の特色の一つが、水産商社の存在。一般的に、養殖業者は稚魚や餌を漁業協同組合から仕入れ、2年間ほど育成した魚を漁協を通じて出荷する。愛媛県では、漁協の役割を民間の水産商社が担っている。
 “宇和島モデル”ともいわれるこのスキームの強みは…

【写真】大西水産の大西社長(左)から、いけすの状況についてヒアリングする(右から)宇和島信金の田部隆一支店長代理、徳田支店長、和泉課長(24年12月2日、大西水産)

2024年12月20日号5面 山梨中央銀行、宝飾産業 盛り上げ、認知度アップ貢献

2024年12月20日号5面 山梨中央銀行、宝飾産業 盛り上げ、認知度アップ貢献

 山梨中央銀行は、県内のジュエリー産業を盛り上げようと、業界との連携を深めている。2023年10月にプロジェクトチーム(PT)を設置。全国でも有数の事業所数を誇る山梨県の宝飾産業のブランド向上に貢献したい考えだ。
 もともと山梨県は水晶の産出地で、事業者の加工技術が磨かれてきた。現在、県内で加工される原石の多くが海外産となったが…

【写真】アクセサリー製作を体験する参加者ら(南支店、山梨中央銀提供)

2024年12月6日号5面 山梨中央銀行、半導体業界サポート、宮城進出や工場拡張

2024年12月6日号5面 山梨中央銀行、半導体業界サポート、宮城進出や工場拡張

 山梨中央銀行は、半導体関連産業との関係を深めている。2024年5月にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、情報の集約と分析に注力してきた。山梨県内の半導体製造装置部品メーカーには、県内に工場がある製造装置大手の東京エレクトロンの宮城県内拠点を念頭に置いた他県への進出や、本社工場拡張の資金需要が出てきており、コンサルティングサービスなども含め、事業者ニーズを捉えたい考えだ。
 半導体PTには、本部担当者や営業店で半導体関連の取引先を持つ行員のほか…

【写真】半導体製造装置部品の製造、加工を担うサワの山口代表取締役(右)と情報を交換する行員ら(上野原市)

2024年11月29日号3面 商工中金、中小向け人財サービス好調、利用企業1300社に

2024年11月29日号3面 商工中金、中小向け人財サービス好調、利用企業1300社に

 商工組合中央金庫が、中小企業の従業員向けに提供する人財育成サービスの実績が好調だ。従業員の幸福度の可視化を支援するサービス「幸せデザインサーベイ」の利用企業は、11月までに約1300社に拡大した。付随するサービスを含め利用が広がるなか、10月にはプログラムを拡充。今後も、中小企業が抱える「人」に関する経営課題をヒアリングしながら、それを解決するための研修施策の検討を進める。
 幸せデザインサーベイは、社内ビジネスコンテストで職員が…

2024年11月29日号5面 紀陽銀行、「ポスコロ」50件実施へ 中小事業支援を強化

2024年11月29日号5面 紀陽銀行、「ポスコロ」50件実施へ 中小事業支援を強化

 【大阪】紀陽銀行は、実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資先の経営改善計画策定をサポートする「早期経営改善計画策定支援」(通称・ポスコロ事業)を50件実施する。これを機に、中小零細事業者への経営支援のアプローチを強化する。
 ポスコロ事業は2024年2月~25年1月末、民間金融機関による計画策定支援の費用も補助対象となった。中小企業庁が10月に公表した資料では…

【写真】ポスコロ事業を統括する上西センター長(左)と本店ビジネスセンター行員(11月1日、紀陽銀本店)

2024年11月22日号6面 信金、M&Aセンターと連携加速、全国案件組成や人材育成

2024年11月22日号6面 信金、M&Aセンターと連携加速、全国案件組成や人材育成

 信用金庫は、日本M&Aセンターホールディングス(HD)との連携を加速させている。取引先経営者の高齢化が進むなか、全国規模のM&A(合併・買収)案件の組成や人材育成などに向けて協力関係を強化。現在、210信金以上が提携関係にあり、「連携支援の件数は増加傾向にある」(同HD)という。
 各信金の担当者が取引先の事業承継ニーズを把握し、同HDにトスアップした後、連携しながら具体的なサポートを進めている。一部信金では…

【写真】パネルディスカッションする北見・西武・枚方・福岡ひびき・川崎の5信金の理事長をはじめとする役員ら(11月14日、明治記念館)

地域貢献

2025年1月31日号10面 特集 金融プラスで課題解決(4)

2025年1月31日号10面 特集 金融プラスで課題解決(4)

 シリーズ4回目。今回紹介するのは、福井銀行が地元新聞社と共同出資で設立した「ふくいのデジタル」と、京都中央信用金庫が伝統産業の発信、承継を目的に立ち上げた「京都アンプリチュード」。ふくいのデジタルはデジタル化を起点に地域活性化で成果を上げる。京都アンプリチュードは、伝統技術の価値を世界に発信している。

 ■ふくいのデジタル、福井銀行 地域DX推進の共同出資会社
 アプリで地域の魅力向上、福井県内「共通基盤」に
 【金沢】デジタルの力で地元を豊かで幸せにするという理念で開発したスマートフォン向け「ふくアプリ」は、福井県内の共通プラットフォームとして成長している。2024年9月末時点でユーザー約17万人…

 【写真】「ふくいはぴコイン」の決済が福井県内で広がっている(1月15日、福井市内のスリータイムズコーヒー)

2025年1月24日号10面 特集 SDGs×信用金庫(1)、理念を経営にも浸透

2025年1月24日号10面 特集 SDGs×信用金庫(1)、理念を経営にも浸透

 信用金庫の原点である「相互扶助」。各信金では、2030年のSDGs(持続可能な開発目標)の最終目標に向け、活動を強化。“誰一人取り残さない”持続可能な社会の実現に向け、その理念を経営にも浸透させる。また、SDGsを切り口に取引先企業の課題を発見し支援にもつなげている。ニッキンでは1月24日号から3号続けて全国の信金が取り組むSDGs活動を紹介する。

 ■北海道
 釧路信金は脱炭素の国民運動「デコ活」で環境大臣賞を地元自治体と共同受賞した。

 【写真】釧路信金と北海道釧路市、釧路町の3者共同での取り組みがアイデア部門で環境大臣賞を受賞(2024年7月23日、釧路信金提供)

2025年1月17日号15面 特集 中国地区4地銀、脱炭素先行地域支える

2025年1月17日号15面 特集 中国地区4地銀、脱炭素先行地域支える

 “金融の力”でモデル確立へ
 【広島】2030年度までに自治体の民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指して、環境省が選定する「脱炭素先行地域」。2024年9月、中国地区唯一の空白地だった広島県で東広島市が採択された。全国で81地域が選ばれるなか、地方銀行が地域の全県で1案件以上の提案をしているのは、中国地区のみだ。地域の脱炭素化モデルの確立に取り組む山陰合同銀行、中国銀行、広島銀行、山口銀行の狙いと特徴的な支援策を探った。

 ■地方創生、同時実現へ
 「脱炭素で地方創生を成し遂げたい」。自治体を後押しする4行は、共通の熱い思いを持つ。取り組みが進めば、(1)CO2削減を起点とした地域の発展・ブランド確立(2)関係人口の創出(3)エネルギーの地産地消による域外への資金流出防止――などが見込めるからだ。全国に先駆けたモデルとなることで…

 【写真】中国銀行が支援する西粟倉村は、外部評価委員が太陽光発電設備設置の課題や住民への周知活動を話し合う(西粟倉村役場)

2025年1月10日号2面 特集 広がる社会課題 解決に挑む金融機関

2025年1月10日号2面 特集 広がる社会課題 解決に挑む金融機関

 少子高齢化、地域経済の衰退、頻発する自然災害――。国内の社会課題は多岐にわたり、深刻さは地域によって大きく異なる。中小企業庁は、地域課題を解決して社会に良い変化を生み出す中小企業や小規模事業者を「ローカル・ゼブラ企業」と呼び、その活動に期待を寄せる。こうした企業を支援する目的で、2024年度から実証事業をスタート。モデルとして全国20事例が選ばれ、地方銀行や信用金庫が参画している。そのうち七十七銀行の関連会社、肥後銀行、京都信用金庫の三つのケースを取材した。(岩佐昌洋、西口守、佐藤涼香)

■七十七リサーチ&コンサルティング、女性が輝く地域づくり
 七十七銀系のシンクタンク、七十七リサーチ&コンサルティング(R&C)は、女性が輝ける地域の実現に向けて、…

【写真】Wasshoi Lab主催のワークショップでは、課題の因果関係などを明示する「ロジックモデル」を使って参加者が目線合わせをした(24年12月12日、仙台市内)

2025年1月10日号11面 特集 金融機関の自治体支援、人材・決済・新興育成で存在感

2025年1月10日号11面 特集 金融機関の自治体支援、人材・決済・新興育成で存在感

 地域金融機関と自治体は一蓮托生(いちれんたくしょう)。自治体が抱える課題はひとごとではない。地域銀行では、地方創生事業を手がけるグループ会社や専担部署を設置し、課題解決提案を進めている。人材、決済、新興企業(スタートアップ)での取り組みを見た。

 ■埼玉りそな銀行、皆野町に社員常駐、役場と地域をDX
 埼玉りそな銀行は、2024年10月から埼玉県皆野町に社員1人を常駐させ、同町のデジタルトランスフォーメーション(DX)と地域振興を支援している。企業が従業員を一定期間派遣し…

 【写真】健康こども課担当者と打ち合わせする埼玉りそな銀行担当者(右、2024年12月27日、皆野町役場)

2025年1月10日号17面 西武信金、育てた米を寄付、SDGs研修で

2025年1月10日号17面 西武信金、育てた米を寄付、SDGs研修で

 西武信用金庫(東京都、高橋一朗理事長)は2024年12月末までに、SDGs研修の一環で米計200キロを支店取引先20先に寄付した。米は同研修で入庫2年目の職員51人が5月に田植えをし、10月の稲刈りで収穫したもの。2年目職員は収穫後、寄付先の選定までを行った。
 同研修は、これから営業に出る2年目職員が対象。田植え・稲刈りを通してチームワークを大切にする気持ちや…

 【写真】高橋由美子・みんなの食堂ママごはん運営代表者(左から2人目)に収穫した米を贈呈した吉田健一・福生兼牛浜支店長(右から2人目)、同支店の担当者たち(西武信用金庫提供)

2025年1月1日号6面 特集 能登半島地震1年、信金・地域再興へ力尽くす

2025年1月1日号6面 特集 能登半島地震1年、信金・地域再興へ力尽くす

 【金沢】2024年1月1日の能登半島地震発生から1年。被害が大きかった奥能登地域は、復興途上の9月にも、甚大な豪雨被害に見舞われた。度重なる自然災害に遭いながらも、地元信用金庫は地域再興に力を尽くす。事業者の将来を見据えたより長期的な支援へとステージが移りつつあるなか、その活動を取材した。

 ■「事業再開」道半ば
 2024年12月17日までの地震による死者数は災害関連死も含めて475人に上る。石川県では、交通の便の悪さなども影響し…

 【写真】公費解体中の倒壊したビル(2024年11月26日、輪島市)

2024年12月20日号8面 特集 金融プラスで課題解決(3)

2024年12月20日号8面 特集 金融プラスで課題解決(3)

 取引先や地域課題の解決へ存在感を高める金融機関の子会社・関連会社を紹介する本シリーズ。今回は、工場などの屋根を活用した太陽光発電事業で地産地消型のエネルギー循環の実現に取り組む栃木銀行の子会社、クリーンエナジー・ソリューションズと、コンサルティングとファンド投資によるスタートアップ支援を展開する大光銀行の子会社、大光キャピタル&コンサルティングを取り上げる。

 ■クリーンエナジー・ソリューションズ、栃木銀行 電力子会社、 屋根活用し再エネ供給、CO2削減で地域貢献
 課題が多く大企業でも仕掛けにくい地域レベルのPPA(売電契約)事業。栃木銀行は2023年3月に子会社「クリーンエナジー・ソリューションズ(CES)」を設立し、銀行のノウハウや資源を生かした発電・売電事業で…

 【写真】太陽光パネルを設置した屋根の周辺を点検する作業員(カワチ薬品上三川インター店、クリーンエナジー・ソリューションズ提供)

国際

2024年11月15日号3面 トランプ再選、大手行、外債運用で警戒、「利下げ享受」に暗雲

2024年11月15日号3面 トランプ再選、大手行、外債運用で警戒、「利下げ享受」に暗雲

 財政拡張路線や大幅減税を選挙公約に訴えてきたドナルド・トランプ前米大統領の再選で、大手行では金融市場に対する警戒感が高まっている。景気刺激策によるインフレ再燃や財政悪化懸念が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ停止観測も浮上。米金利は選挙情勢の報道が増した10月以降、上昇基調に転じ、キャピタルゲイン(売買差益)を狙って外債残高を積み上げてきたメガバンクなどでは、政情を見極めた運用が迫られそうだ。
 海外金利のボラティリティーが高まっている。…

2024年11月1日号1面 メガバンク、印のノンバンク規制注視、現地戦略へ影響も

2024年11月1日号1面 メガバンク、印のノンバンク規制注視、現地戦略へ影響も

 メガバンクは、インドの中央銀行にあたるインド準備銀行(RBI)によるノンバンク融資規制の動向を注視している。急成長するノンバンク市場への警戒を強めるRBIによる業務停止命令などが相次いでいるため。10月17日には三菱UFJ銀行出資先を含むノンバンク4社に対して新規融資の停止処分が下った。さらなる規制強化に発展すると、現地でリテール事業を強化する戦略に影響を与える可能性がある。
 10月17日に処分を受けたのは三菱UFJ銀が出資する…

2024年9月6日号4面 三菱UFJ銀行、デジタル金融トップへ、ASEANが成長の柱

2024年9月6日号4面 三菱UFJ銀行、デジタル金融トップへ、ASEANが成長の柱

  三菱UFJ銀行は、東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国(タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン)で戦略出資を加速している。アユタヤ銀行(タイ)などパートナー4行との連携に加え、口座を持たない消費者などにも積極的に貸し付けるデジタルレンディングに本格参入する。出資総額はこの10年で1兆6千億円に。今後10年のうちにASEANトップのデジタル金融グループの地位を固めたい考えだ。
 2024年6月にタイ最大手のアセンドマネーに306億円、8月にはフィリピンのユニコーン企業、ミントに633億円を出資。いずれもモバイル決済などで…

【写真】ASEANの出資先をつなぐイベント「MUFGフィンテックフェスティバル」(23年11月、シンガポール)

2024年7月12日号5面 百五銀行、三重を「ハラル先進県」に、認証取得サポート

2024年7月12日号5面 百五銀行、三重を「ハラル先進県」に、認証取得サポート

 【名古屋】百五銀行は、三重県内企業のイスラム市場開拓を支援する。海外進出にあたり、食事などでイスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」の取得をサポート。政府関係機関とのネットワークも築き、全国の地域銀行でも珍しい巨大市場に三重から攻める。

【写真】ラウンドテーブルの第2部では、津市のつじ農園の米を始め、イスラム教徒も食べられるメニューを食堂で提供した(7月5日、同行丸之内本部)

2024年6月28日号1面 新連載 3メガGインドへ熱視線(上)膨らむ中間層に商機

2024年6月28日号1面 新連載 3メガGインドへ熱視線(上)膨らむ中間層に商機

  メガバンクグループ(G)が熱い視線を送るインド。人種や言語、宗教など多様性にあふれ、時にはそれが障壁となるものの、ダイナミックな経済成長は他国にない魅力だ。ノンバンクやフィンテック企業への出資を通じて現地のリテールビジネスに挑むメガバンクGの動きを追った。
 各社がインドのリテールビジネスに乗り出した背景には、人口増加と経済成長に加え、金融サービスを提供するデジタルインフラの発達がある。インド版マイナンバー「アドハー」は…

【写真】SMICCは農村部で酪農体験イベントを開催し、地域住民との距離を縮める(三井住友FG提供)

2024年6月28日号8面 特集 【米ワシントン現地取材】米当局・中小銀の健全性を支援

2024年6月28日号8面 特集 【米ワシントン現地取材】米当局・中小銀の健全性を支援

 堅調な米国経済を背景に安定基調にある米国銀行界。商業用不動産(CRE)ローンの不良債権問題が懸念されるが、「局地的、限定的」との見方もある。米財務省通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)など金融監督当局は、中小規模の銀行の健全性支援に乗り出している。FDICのマーティン・J・グルンバーグ総裁、米国独立コミュニティー銀行家協会(ICBA)のレベッカ・ロメロ・レイニーCEOの両トップと米国銀行協会(ABA)の幹部に現在の業況、経営課題、規制のあり方などについて聞いた。

 【写真】マーティン・J・グルンバーグ FDIC総裁(左)、レベッカ・ロメロ・レイニー ICBA CEO(右)

2024年4月26日号1面 各国中銀と民間銀、新・国際決済インフラ構築、資産「トークン化」見据え

2024年4月26日号1面 各国中銀と民間銀、新・国際決済インフラ構築、資産「トークン化」見据え

 世界の中央銀行と金融機関はあらゆる資産がブロックチェーン上でトークン化された世界を見据え、新たな越境決済プラットフォームの構築を加速させる。Swift(スイフト=国際銀行間通信協会)は、これまで培ってきた国際送金網のノウハウを生かし、中銀デジタル通貨(CBDC)を相互につなぐ。国際決済銀行(BIS)は、ホールセール分野で分散型台帳技術(DLT)を活用した決済インフラ構築を模索する。
 38の中銀や銀行などと実証実験を進めてきたスイフトは製品化の段階に入り…

2024年4月26日号8面 特集 海外中銀どう動く、インフレ懸念再燃の米国

2024年4月26日号8面 特集 海外中銀どう動く、インフレ懸念再燃の米国

 FRB、大統領選もにらむ
 日本銀行がマイナス金利解除に踏み切り、米欧など海外の金融政策の変化にも注目が集まる。特に市場が関心を寄せるのは、経済が好調な米国の動向。急ピッチで進んだ金融引き締めから緩和への転換を模索するが、インフレ懸念が再燃し、利下げの後ずれ観測が強まっている。今秋に予定される大統領選も政策運営に影響しそうだ。一方、欧州では物価の伸びが鈍化し、早期利下げが予想される。今後の焦点を探った。

 ■「かじ取り」難しく
 あたかも市場関係者が抱える焦燥を察し、米金融当局に影響力を持つ大物が代弁してみせたかのようだった。
 「政策金利の動きが下向きではなく…

営業店

2025年2月7日号18面 佐賀銀行鍋島支店、国事業への参画後押し、情報管理強化でコンサル

2025年2月7日号18面 佐賀銀行鍋島支店、国事業への参画後押し、情報管理強化でコンサル

 【福岡】佐賀銀行鍋島支店(岡慎一郎支店長=行員7人うち渉外3人。パート4人)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する事業への参画を目指す企業を支援した。本部やグループ会社と協力して事業参画に必要な情報セキュリティーの強化に向けたコンサルティングを提供。同行の2024年度上期DX推進特別賞に輝いた。
 岡慎一郎支店長は本店営業部の店頭営業課長を経て、2024年4月に着任。顧客が何でも相談できる体制を目指し、本部の専門スタッフやグループ会社との連携を…

 【写真】原田烈社長(右)、野口裕子取締役(中央)と情報交換する岡慎一郎支店長(1月15日、バイオテックス本社)

2025年1月31日号20面 紀陽銀行西天満支店、本業支援が取引の起点、マッチング成約25件

2025年1月31日号20面 紀陽銀行西天満支店、本業支援が取引の起点、マッチング成約25件

 【大阪】紀陽銀行西天満支店(泉祐輔支店長=行員20人うち渉外7人。パート1人)は、本業支援を事業者との取引の起点に位置付けて取り組んでいる。若手の渉外係が多いなか、提携業者との同行訪問を行うなどして知見習得を促進。泉祐輔支店長が着任した2023年10月から1年3カ月間の本業支援関連の成約実績はビジネスマッチングが25件、有償コンサルティングが4件に上る。
 大阪市北区の商業ビルに入居。法人取引が中心。最近は地価上昇で不動産関連の案件が増えたほか…

 【写真】MSCの大坂智一代表(右)から考えを聞く泉祐輔支店長(1月7日、MSC本社)

2025年1月24日号15面 特集 隠岐を支える山陰合同銀行・島根銀行、「ない」から始まる挑戦

2025年1月24日号15面 特集 隠岐を支える山陰合同銀行・島根銀行、「ない」から始まる挑戦

 地域に溶け込み存在感
 【広島】鳥取・島根県の県境の沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島。「島後(どうご)」と呼ばれる隠岐の島(隠岐の島町)と、島前(どうぜん)の西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)の計四つの有人島を中心に独自の文化を築いてきた。山陰合同銀行は地域金融機関として唯一、3町に出店。隠岐の島町に店舗を構える島根銀行とともに地域になくてはならない存在だ。本土に比べて「ない」ものが多い離島だが、そのハンディキャップが行員のキャリアアップやデジタル化、地域の文化に飛び込む姿勢など新しいことに挑戦する礎になっている。

 ■古典相撲参戦で一体感
 人口約1万3千人、隠岐諸島最大の隠岐の島。島根銀行西郷支店の森脇章次支店長(52)は2024年7月に着任。行員7人が本土から赴任する。島出身者が少ないこともあってか…

 【写真】古典相撲の土俵入りに登場した島根銀行の行員。(左端から時計回り)森脇章次支店長、古屋和洋課長、森脇哲郎氏(2024年9月14日、島根銀行提供)

2025年1月24日号18面 宮崎銀行谷頭支店、物流拠点新設を後押し、協調融資や補助金提案

2025年1月24日号18面 宮崎銀行谷頭支店、物流拠点新設を後押し、協調融資や補助金提案

 【鹿児島】宮崎銀行谷頭支店(大平展生支店長=行員6人うち渉外3人)は、日本政策金融公庫宮崎支店との協調融資や本部の支援機能活用など、多方面から取引先運送業者の事業拡大を後押しする。「2024年問題」に揺れる運送業界だが、規模の大きい倉庫を新たに設けることで輸送効率と競争力を高め、さらに地域の物流効率化も狙うプロジェクトを伴走支援している。
 桐原商事(宮崎県三股町)は「依頼があれば何でも運ぶ」を方針に掲げる、地元では準大手規模の運送業者。積極的に担当者と同行訪問する大平展生支店長が…

 【写真】取引先で談笑する(左から)大平展生支店長、法人営業担当者、桐原剛社長(2024年12月10日、桐原商事)

2025年1月17日号18面 名古屋銀行守山支店、最下位からの「下克上」、常勝軍団へメンタル改革

2025年1月17日号18面 名古屋銀行守山支店、最下位からの「下克上」、常勝軍団へメンタル改革

 【名古屋】業績最下位から優秀賞を獲得した名古屋銀行守山支店(浦野元支店長=行員16人うち渉外6人)。2023年度下期はブロック内13カ店中13位だったが、2024年度上期は1位に輝いた。浦野支店長が掲げた目標は、常に上位争いをする営業店になること。取り組んだのは「勝ち組へのメンタル改革」だ。
 浦野元支店長は2024年2月に着任。「専担者がいないから投資信託やNISA(少額投資非課税制度)を推進できない」「私募債を取り扱ったことがないからできない」。早々に感じたのはメンタルの弱さ。否定的な報告が多いと感じた。収益目標を意識し過ぎて…

 【写真】取引先の伊藤邦生・サンアイズ代表取締役(右)と情報交換する浦野元支店長(2024年12月16日、サンアイズ本社)

2025年1月10日号18面 大手4行最前線、スタートアップ支援

2025年1月10日号18面 大手4行最前線、スタートアップ支援

 わが国の経済成長、地域の活性化、さらには雇用の創出や社会課題の解決にはスタートアップの発掘、支援が欠かせない。実績がない創業期に寄り添うことは大手行にとっても“手探り状態”。本部の専門チームやグループ各社と連携を図りながら新興企業と向き合う大手銀行4行の営業最前線を見た。

 ■みずほ銀行浜松町法人第一部、新興取引200社超える、リスクテイクし融資増
 みずほ銀行浜松町法人第一部(手嶋高史執行役員・部長=行員42人うち渉外19人)は、スタートアップ発掘に力を入れる。専担者1人と既存顧客担当を兼任する4人が新規開拓を展開。雑誌やネットニュースから興味のある先を探し…

 【写真】取引先へ訪問するみずほ銀行の担当者ら(右、2024年12月4日、Another works本社)

2025年1月1日号2面 特集 大手4行 個人顧客との接点拡大、粘着性高い預金獲得へ

2025年1月1日号2面 特集 大手4行 個人顧客との接点拡大、粘着性高い預金獲得へ

 みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそなの大手4行は、新しいコンセプトに基づく次世代の拠点網構築を急いでいる。取引のオンラインシフトが加速するなか、個人向けの対面タッチポイントを充実させるのが狙い。30年間にわたって大手行の拠点数は減少の一途をたどっており、ファミリー層をはじめとする個人顧客との“つながり”を有人拠点で取り戻したい考えだ。

■取引からサポートの場に
 大手各行は近年、個人取引がオンラインで完結する仕組みを…

【写真】大手行が展開、構想する新形態・新デザインの個人専用店舗

2024年12月20日号20面 東邦銀行原町支店、原発廃炉事業に参画、新興支援で復興注力

2024年12月20日号20面 東邦銀行原町支店、原発廃炉事業に参画、新興支援で復興注力

 【仙台】東邦銀行原町支店(馬場貴史支店長=行員23人うち渉外6人。パート2人)は、福島第一原子力発電所の北25キロに位置する。新興企業への支援に注力しながら、東日本大震災からの復興を後押しする。原発の廃炉事業への参画や、再開発が進む浪江町に本部を置く特殊法人「福島国際研究教育機構(F‐REI、エフレイ)」との連携も深めている。
 馬場貴史支店長は4月に着任。自治体や本部とも連携し、福島や東北の活性化に尽力するベンチャー・スタートアップ企業へのつなぎ資金の融資に取り組む。
 同行は、包括連携協力協定を結ぶエフレイが研究成果を事業化する際…

 【写真】浪江駅周辺の再開発計画について意見を交わす馬場貴史支店長(左から3人目)と成井祥副町長(同4人目)ら(11月25日、浪江町役場)

インタビュー

2025年1月1日号3面 特集 新春インタビュー、福留・全銀協会長、スタートアップ育て再成長実現

2025年1月1日号3面 特集 新春インタビュー、福留・全銀協会長、スタートアップ育て再成長実現

官民挙げて推進するスタートアップ育成――。
日本の再成長のカギとなり、銀行界に求められる役割は融資から出資まで幅広い。
全国銀行協会の福留朗裕会長(三井住友銀行頭取)に銀行のスタートアップ支援や日本が抱える課題について聞いた。
(聞き手=佐藤康浩)

■世界基準の生態系必要
 ――日本のスタートアップの現況をどうみていますか。
 「今の米経済を引っ張っているのは新しい産業を作り出した『マグニフィセント・セブン』のような…

2024年12月6日号9面 【ちょっと一言】 後藤真希さん(歌手・タレント)、ファンの存在が原動力

2024年12月6日号9面 【ちょっと一言】 後藤真希さん(歌手・タレント)、ファンの存在が原動力

 一店舗で他店対応を
 1999年に「モーニング娘。」でデビューし、2024年9月9日に25周年を迎えた。ミリオンヒットした「LOVEマシーン」では、加入直後にセンターへ抜てき。多くのファンの心をつかむと「恋のダンスサイト」などのヒット曲を連発させ、一時代を築いた。現在は歌手やタレントとして活躍中だ。
 自身が「転機だった」と話すのは2008年のエイベックスへの移籍。アイドル時代とは違い…

2024年10月11日号8面 特集 東北4信金、創業者に聞く・必要な支援とは

2024年10月11日号8面 特集 東北4信金、創業者に聞く・必要な支援とは

 融資で夢実現・助言を成長に
 【仙台】少子高齢化や事業所数減少の影響を大きく受けている東北地区経済。その厳しい環境のなかでも地元信用金庫の支援を得て創業や事業拡大に成功した企業がある。創業者4氏に起業の経緯や信金の支援内容、後に続く創業者に対して金融機関が担うべき役割を聞いた。

 ■NPO「水梨かふぇ」(気仙沼信金)、ビジョン描き導く存在
 障がい者などの支援施設、多機能型事業所「いっぽ」を運営する水梨かふぇ。看護師だった秋山順子理事長が…

 【写真】水梨かふぇの秋山順子理事長(右)から話を聞く気仙沼信用金庫南支店の村上達也支店長(7月9日、多機能型事業所「いっぽ」)

2024年9月20日号10面 再考地方創生(6) 積み残された課題、重み増す次の10年

2024年9月20日号10面 再考地方創生(6) 積み残された課題、重み増す次の10年

 政府が地方創生を打ち出してから10年。金融機関も自治体と連携して全国各地で取り組みを進め一定の成果を生んだ一方で、積み残された課題は少なくない。自見英子地方創生担当大臣(48)と、福島県会津若松市でICT(情報通信技術)を活用した「スマートシティ」化を推進するアクセンチュアの海老原城一執行役員(48)に今後の展望などを聞いた。

 【写真】(左から)自見英子・地方創生担当大臣、海老原城一・アクセンチュア執行役員

2024年8月30日号6面 インタビュー 平松・全信協会長、業界一丸でデジタル化推進

2024年8月30日号6面 インタビュー 平松・全信協会長、業界一丸でデジタル化推進

6月に就任した全国信用金庫協会の平松廣司会長(74歳、かながわ信用金庫会長)。地域経済の縮小や役職員の減少、預金獲得競争の激化など課題が山積するなか、今後の戦略を聞いた。


 ――金利環境が変わり預金の重要性は増すが、獲得に向けて必要になるのは。
 「預金に対する姿勢は変化しており、獲得に向けた動きが活発になりつつある…

2024年8月9日号1面 インタビュー 井藤・金融庁長官、貸出金利上昇の影響点検

2024年8月9日号1面 インタビュー 井藤・金融庁長官、貸出金利上昇の影響点検

 7月に就任した井藤英樹・金融庁長官(59)が本紙インタビューに応じ、国内金利上昇に伴う貸出金利の引き上げを見据え、顧客対応状況に焦点を当て銀行に対するモニタリングを行う考えを示した。担保・保証に依存しない事業性融資推進に向け、ノウハウや体制整備に課題があるとし、金融機関と納得感のある対話も進めていく方針だ。

 ――金利上昇局面を迎え、当局が注視するリスクや金融機関に求める対応は。…

2024年6月28日号8面 特集 【米ワシントン現地取材】米当局・中小銀の健全性を支援

2024年6月28日号8面 特集 【米ワシントン現地取材】米当局・中小銀の健全性を支援

 堅調な米国経済を背景に安定基調にある米国銀行界。商業用不動産(CRE)ローンの不良債権問題が懸念されるが、「局地的、限定的」との見方もある。米財務省通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)など金融監督当局は、中小規模の銀行の健全性支援に乗り出している。FDICのマーティン・J・グルンバーグ総裁、米国独立コミュニティー銀行家協会(ICBA)のレベッカ・ロメロ・レイニーCEOの両トップと米国銀行協会(ABA)の幹部に現在の業況、経営課題、規制のあり方などについて聞いた。

 【写真】マーティン・J・グルンバーグ FDIC総裁(左)、レベッカ・ロメロ・レイニー ICBA CEO(右)