2025年11月21日号2面 国内銀行、預金1000兆円超す、「定期」増、潮目の見方も
国内銀行の預金残高の増加が続いている。日本銀行の統計によると、9月末の同残高は前年同月比21兆円(2.1%)増加し、1千兆円を超えた。民間金融機関の貸し出しが増え、連動的に預金残高の押し上げに寄与。半面、伸び率は鈍りつつあり、日銀の国債購入減額による資金供給量(マネタリーベース)の低下や「貯蓄から投資」へのシフト加速で、減少基調に転じる可能性も意識されている。 日銀の「預金者別預金」統計によると、国内銀行の9月末残高は1001兆円と大台に乗った。金利優遇商品を前面に顧客の囲い込みが激化する「定期性預金」が全体の伸びを牽引(けんいん)。同残高は263兆円と…
2025年11月21日号3面 大手行5グループの4~9月期、純利益16%増3兆円、4社が業績上方修正
大手行5グループの2025年4~9月期決算が11月14日に出そろい、5社合計の連結純利益が前年同期比15.5%増の3兆2306億円になった。2026年3月期の業績見通しは、りそなホールディングスを除き4社が上方修正した。インフレ局面で日本銀行の追加利上げが現実味を帯びるなか、今後も収益の追い風になりそうだ。 2025年度の期初はトランプ関税の影響で先行き不透明感が漂っていたが、日本との交渉が無難な形で終結した。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は「サプライチェーンが毀損(きそん)することにならないという前提で計画を立てている」と強調。三井住友フィナンシャルグループの中島達社長は… 【写真】2026年3月期の業績目標を2兆1千億円に引き上げた三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長(11月14日)
2025年11月21日号4面 千葉銀行、行動分析し最適提案、50の顧客シナリオ設定へ
千葉銀行は、顧客の取引や行動などの分析から最適なタイミングで金融商品を提案するマーケティング施策を展開している。分析データを一元化するクラウド基盤を導入し、顧客ごとにニーズを推定。チャネル横断でアプローチする。顧客パターンの仮説シナリオは2025年度内に約50本設定する方針だ。 「One to Oneマーケティング」の高度化へ日鉄ソリューションズ(東京都)、日本情報通信(東京都)と連携し、3月に分析・マーケティング基盤を構築。データを蓄積・整理する基盤「Snowflake」と、顧客データ活用サービス「Treasure Date CDP」を連携させた。 基盤には預金口座データのほか…
2025年11月21日号6面 しんきん地域創生ネット、観光分野の課題解決、人手確保へ実証実験
信金中央金庫のグループ会社、しんきん地域創生ネットワークは、地方自治体から業務委託を受け、観光分野で地域が抱える課題の解決をサポートしている。同社は行政や民間事業者の支援を通じて、自治体の戦略策定から労働力不足など幅広い分野に携わっている。現在は、鳥取県倉吉市の観光ビジョン策定や、北海道で宿泊施設不足を解消するための実証実験に向けて準備を進めている。 2022、2023年には空知信用金庫を通じて北海道三笠市の観光地域づくり法人の設立補助、2023年には長野県松本市から観光事業者の経営支援事業を受託した。松本市の事業では…
2025年11月21日号8面 特集 香港現地取材、AI×金融の融合で変革
イベントに世界4万5000人 香港が、金融ハブとしての機能の高度化に向けた動きを強めている。11月3~7日、香港政府は、香港コンベンション&エキシビションセンターで「香港フィンテックウィーク×スタートミーアップHKフェスティバル2025」を開催。世界の金融界のトップが集う「グローバル金融リーダーズ投資サミット」や、スタートアップ投資のイベント「サイバーポート・ベンチャーキャピタル・フォーラム」も相次いで開いた。「国際金融ハブ」を基盤に「AI(人工知能)」「ウェブ3」を取り込み、「金融テクノロジーハブ」へ進化する香港政府の戦略が見える。 ■トークン化拡大へ 今回10周年の「香港フィンテックウィーク」は、初めてスタートアップの祭典と同時開催。世界120超の国・地域から4万5000人以上が参加、800社以上が出展した。 中心は「AI」と「トークン化」だ。香港金融管理局の… 【写真】アント・グループの出展ブース(11月3日、香港コンベンション&エキシビションセンター)
2025年11月21日号14面 地域金融機関、投信販売額が2割減、預金強化の影響色濃く
地域金融機関の4~9月の投資信託販売額が前年同期比で約2割減少したことが、ニッキンの調査で分かった。株式相場の変動が大きかったことに加え、各金融機関が定期預金や個人向け国債など貯蓄性商品の獲得に注力して投信販売が手薄になった影響が出たとみられる。 4~9月は国内株式市場の変動幅が大きかった。4月に米トランプ大統領が相互関税を発表し、株式相場が大幅に下落。市場では2番底を警戒する声も多かったが…
2025年11月21日号15面 特集 3メガバンクグループ、リテール再構築のいま
提携が競争力押し上げ 金利ある世界の到来で、メガバンクグループ(G)による個人預金の獲得競争が激しくなってきた。粘着性の高い、低コストの預金獲得がそのまま収益を押し上げるからだ。各グループとも優れた外部企業と提携し、また傘下に収めながら、競争力を高めている。デジタル化を軸に新たなリテールビジネスを構築している3メガバンクGの現在地を追った。 ■みずほFG 、「優位分野」使い分け みずほフィナンシャルグループ(FG)は、銀行サービスをさまざまな経済圏とつなげ、対面コンサルティングの機会を広げる。利用者が優位性のあるサービスを使い分けることが「顧客にとってのベスト」(籔田太郎執行役員デジタルマーケティング部長)と考え… 【写真】楽天グループとの提携は、みずほフィナンシャルグループが掲げる「金融とコマースの融合」の試金石となる
2025年11月21日号18面 阿波銀行北島支店、人やビジネスつなぐ、新たな商機創出に一役
【高松】阿波銀行北島支店(小山田貴志支店長=行員19人うち渉外4人。パート7人)は、行内外の知見や人脈、ネットワークを生かし、顧客同士をつなぐ取り組みを展開する。起点となっているのは「人と人、ビジネスとビジネスをつなぐことが銀行のあるべき姿」(小山田貴志支店長)との思い。新たなビジネスチャンスを創出しながら、地域全体の活性化も見据える。 2024年6月に着任した小山田貴志支店長は「お客さまの情報を集め、自由な発想で人やビジネスをつなぐ」ことを重視。新たなシナジーが生まれ、顧客や地域の発展が期待できるからだ。ひいては同店の成長にも結びつくと考え… 【写真】井上俊裕社長(左から4人目)と井上永策専務(同5人目)から新工場の特徴を聞く(左から)稼勢秀樹副支店長、赤岩志洋支店長代理、小山田貴志支店長(11月4日、四国車体)