2026年7月31日号3面 長期金利、日本銀行が“市場に委ね”3年、財政懸念でシグナルも
日本銀行が長期金利の形成を市場に委ねる姿勢を示して3年がたった。2023年7月に異次元緩和の主な政策手段だったイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の運用を見直し、マーケットによる国債価格形成を重視するスタンスに転換。YCC撤廃や国債購入減額を通じた金融政策正常化で市場機能は改善し、足元では政府の財政運営に対する評価などを織り込むシグナリング機能も取り戻しつつある。
「市場の評価が金利に素直に表れた」。複数の市場関係者がそう振り返るのは、高市政権初の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案に盛り込まれた金融政策の表現を巡って生じた7月上旬の金利急騰局面だ。市場では…
2026年7月31日号4面 三菱UFJ銀行、富裕層接点をデジタル化、22万人にリモート専任者
三菱UFJ銀行は、富裕層との接点拡大を目的にデジタルツール活用のゴールベースアプローチ(GBA)を強めている。取引がある富裕層顧客のうち、7割近くの約22万人とは接点が不十分であることから、会員制サイトを充実し、リモート専任アドバイザーによる“伴走”体制を整備。今春には顧客向け提案資料の作成支援に生成AI(人工知能)を本格実装した。
富裕層向け会員サイト「MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)ウェルスマネジメント」では、登録後に誰でも閲覧できる限定コンテンツを提供するほか…
2026年7月31日号7面 多摩信金、店舗事務8割を遠隔化、本部5人が25カ店検印
人財不足が深刻化する地域金融機関で、営業店事務の「軽量化」「厳確化」の両立は待ったなしの課題。多摩信用金庫(東京都、金井雅彦理事長)は4月、リモートマネージャー(RM)制度を本格導入した。本部の精鋭が遠隔で複数店の検印や役席業務を代替する店舗デジタルトランスフォーメーション(DX)の進化系の取り組みだ。しんきん共同センターのAPI(データ接続の連携仕様)連携や打鍵レス化まで踏み込み、未来の信金インフラのひな型に挑む戦略を解剖する。
背景にあるのは、近隣店舗のグループ化に伴う「1課長制店舗」の増加と、それに伴う現場管理職の業務過多だ。将来的な人財枯渇を考えれば、各営業店に役席者を配置する従来モデルの維持は困難になる。しかし、金融機関として…
【写真】5カ店の画面を見ながら事務に対応する職員(7月6日、多摩信金事務統括部)
2026年7月31日号8面 特集 九州3地銀の地域決済、資金域外流出防止へ対抗策
【福岡・鹿児島】キャッシュレス化が進み、地方でも大手QR決済のロゴがあふれている。利便性が高まり、消費者の選択肢は広がった。しかしその裏側で、地域外へ資金を押し出す構造がある。本紙試算では、熊本・大分・鹿児島の3県だけでも、加盟店手数料として年間320億~600億円が流出。さらに、大手決済サービスによる預金口座からのチャージ回数は1県で年間約600万回に達し、地域の資金が外部へ吸い上げられる構図が鮮明だ。こうした「資金流出の防衛線」として立ち上がったのが、肥後銀行、大分銀行子会社「おおいたプラット」、鹿児島銀行である。地域の預金を域外に逃がさず、域内で回す仕組みをどう作るか。九州の地方銀行3行の取り組みを追った。
■オール鹿児島体制構築
鹿児島銀の地域決済アプリ「Payどん」は登録者20万人を突破し、県内で利用が広がる。背景には、早期に「銀行色を排する」戦略を明確にした点がある。南日本銀行、鹿児島相互・鹿児島両信用金庫との共同利用を見据え…
2026年7月31日号10面 特集 紀陽銀行の大阪戦略、「第二の地元」へメイン化推進
一気通貫支援で顧客深耕
【大阪】紀陽銀行は、成長が続く大阪府を「第二の地元」と位置づけ、貸出金残高を伸ばしている。大阪府内にも本業支援を担当するソリューション戦略部門や審査部門の拠点を設置し、「大阪の案件は大阪で解決」する体制を構築。低金利競争に陥るのではなく、資金繰り支援から本業支援までを一気通貫でサポートし、事業先のメイン化を進める。2018年度の第5次中期経営計画開始以降、2026年3月末までに大阪エリアの貸出金残高を約1兆円増やした。
同行は1950年6月、大阪府内第1号店舗として、泉南地域に深日(ふけ)支店(現・岬支店)をオープン。5年後の55年には大阪のビジネス街・堂島に大阪支店を開設し、和歌山市と大阪市の間の店舗網を拡大した。現在、大阪エリアの事業性取引拠点は22拠点あり…
【写真】取引先の経営課題解決に向けて、提案メニューを議論する紀陽銀行 ソリューション戦略部 本業支援推進室の担当者たちと半井貴史部長代理(左から4人目)(7月1日、紀陽堺ビル)
2026年7月31日号16面 あいち銀行、女性リーダー育成本格化、昇格意欲 後押し
【名古屋】あいち銀行は、2025年12月に創設した女性リーダー育成研修「Wing(ウイング)」を通じて、女性管理職の育成を進めている。女性行員の昇格へのマインドセット変革を促し、キャリア形成を後押しすることで、2028年3月末までに女性管理職比率(副長以上)を18%(2026年3月末時点13.3%)へ引き上げる考えだ。
Wingには、役席昇格前の係長・主任クラス20人の定員に対し、30代前後の行員43人が第1期生として立候補。関心の高さから8カ月全4回の研修を…
【写真】決意表明する研修参加者(7月7日、あいち銀行本部ホール)
2026年7月31日号17面 大阪信金、鹿児島離島の課題解決、“やっかいもの”を価値に
【大阪】大阪信用金庫(大阪市、高井嘉津義理事長)は、大学とベンチャー企業を引き合わせて、鹿児島県の離島・喜界島の地域課題を解決する商品開発プロジェクトを実現した。同信金の伴走支援により誕生したのは、サトウキビ畑の強害草「センダングサ(ひっつき虫)」と同島特産品の黒糖を組み合わせた新商品「喜界島ラスク」だ。8月1日に現地で初披露される。
同信金は2025年4月、近畿大学と包括連携協定を締結した。その成果の一つが今回の商品だ。主導したのは、離島活性化メディアを運営するアトリア合同会社(大阪市)。同社は、大阪信金が運営する3カ所のインキュベーション型施設の一つ「YUMEARATA」の会員で…
【写真】近畿大学 農学部 食品栄養学科の森島真幸准教授(中央)とゼミ生が試行錯誤を重ねた喜界島ラスクの試作会(5月25日、大阪信金提供)
2026年7月31日号18面 川崎信金宮前平支店、係を越えて情報共有、独自シートで事務時間減
川崎信用金庫宮前平支店(知念英義支店長=職員13人うち渉外4人。パート1人)は、支店内部の業務の効率化に励む。支店独自の情報共有シートを活用しながら、職員一人一人の融資実行などの手続き漏れをなくし、渉外係と融資係との情報共有をスムーズに行う。渉外係同士でも毎日ミーティングを開催し、顧客に対する理解を深めながら訪問活動に臨む。
同店は、1998年に開設され全営業店で2番目に新しい店舗。東急田園都市線の宮前平駅を中心に、宮崎台や鷺沼、あざみ野各駅周辺を営業エリアとする。いずれも不動産業が多い地域。特に鷺沼駅周辺は再開発計画が進み…
【写真】2027年国際園芸博覧会への出展を予定する造園業者「とう美緑化」の佐藤周二さん(右)と話す知念英義支店長(7月10日、横浜市)