社説 7月1日は「銀行の日」
7月1日は、本紙が1993年に制定した「銀行の日」だ。制定当時から「地球にやさしく 顧客に親切」をスローガンに掲げてきた。「地球にやさしく」は、昨今のSDGs(持続可能な開発目標)に通じる。環境問題に限らず、貧困、ジェンダーギャップなど社会的な課題は山積している。本業・社会貢献活動を通じて、社会課題の解決を後押しする銀行の役割は重要性を増し、社会の期待も大きい。
2015年に国連が30年までに解決すべき17の目標を掲げ、SDGsは広く意識されるようになった。投資先を選ぶ基準の一つにしている投資家も少なくない。ただ、ここに来て米国のトランプ政権が、地球温暖化対策や多様性を尊重し合う流れに水を差す政策を打ち出し、世界的な足並みの乱れも懸念される。銀行界はSDGsの流れを加速させる覚悟で取り組みを続けてもらいたい。
脱炭素の取り組み一つとっても大企業と中小企業、あるいは業種間でも温度差がある。大きな流れを作るには、1社でも多く意識が変わるよう働きかけ続けていくことが大切だ。預金額に応じて一定割合を社会課題の解決に寄付するタイプの商品も広がり始めた。社会の意識を変える銀行機能を使った意義ある取り組みと言えよう。
もう一つのスローガン「顧客に親切」は、顧客本位に通じる。顧客を欺く不祥事や不正はもってのほかだが、顧客を軽視し、自らの利益を優先するような行為も厳に慎まなければならない。
24年11月に改正金融サービス提供法が施行され、銀行にも顧客の最善の利益を勘案した誠実公正義務が課されている。顧客と向き合う現場の行員が順守するだけでなく、組織としても顧客本位を逸脱した業務運営を許さない体制を構築する必要がある。法施行前に、外貨建て保険や投資信託の販売を巡って、金融庁から再三、釘を刺されたことは記憶に新しい。2025.6.27
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