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社説 変化先取りする金融行政へ

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 金融庁は7月1日付で伊藤豊監督局長が長官に就任し、新体制がスタートした。2000年7月に金融監督庁と大蔵省金融企画局が統合・発足してから4半世紀。不良債権処理が優先され、「金融処分庁」と揶揄(やゆ)された時代を経て「育成庁」へ軸足を移してきた。足元では急速なデジタル技術の進歩や国内で進む人口減少など、金融機関を取り巻く環境変化のスピードが増しており、変化を先取りする金融行政が期待される。
 金融庁は「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成による国民の厚生の増大」をミッションとしている。その実現は不変の課題だが、取り組み手法は、環境変化に合わせて進化させる必要がある。
 新体制では以前から進めていた監督・検査の一体運営を一歩進め、監督局長の下にモニタリングを指揮・報告する総括審議官を配置した。より目線合わせがしやすくなり、見つかった課題への対処スピードを上げられるだろう。
 金融業態を問わず、社会の耳目を集める不祥事が相次いで発覚し、金融庁の監督・検査能力に疑いの目も向けられている。業界関係者のなかには「処分庁」に戻ることを懸念する声もあるが、良質で安心な金融サービスが提供されることが最優先であり、是々非々で対応していくべきだ。
 長官に就任した伊藤氏は、監督局長を3年務め、地域金融機関との持続可能なビジネスモデルに関する対話の陣頭指揮をとってきた。地域経済と地域金融機関の経営は密接に関係している。合併・経営統合が唯一の解ではないが、人口減少が続くことは確実なだけに、対話を深化させてもらいたい。金融機関トップの判断が遅れることにより、経営の持続可能性が低下すれば、地域経済が打撃を受ける。
 前長官の井藤英樹氏は、AI(人工知能)の活用に及び腰な金融機関が少なくないことに懸念を示していた。金融機関の新領域への挑戦を後押しする対話も欠かせない。2025.7.11


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