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社説 地方創生2.0へ積極的関与を

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 政府は6月13日、地方創生2.0の基本構想を閣議決定した。人口減少を食い止める視点からの施策が多かった地方創生1.0の反省を踏まえ、当面は人口減少を真正面から受け止めたうえで対策を講じる方針を明確にした。急速な出生数の減少などをみれば、現実的な修正だ。7月20日の参院選では物価高対策に焦点が当たりがちだが、地方創生は日本の将来を左右する。金融機関を含め、あらゆる関係者が危機意識を高めて取り組む必要がある。
 今回、政策パッケージの一つに地域の働き方・職場改革を起点とした社会変革を掲げた。公募した68の自治体と関係省庁横断のサポートメンバーで地域働き方・職場改革ネットワークを形成し、若者や女性にも選ばれる地方づくりを進めるとしている。
 人口戦略会議の推計によると2050年までに全国744の自治体で若年女性(20~39歳)が20年比で半減する。働く場所の有無なども影響しているが、伝統や慣習に基づく女性の役割に対する無意識の思い込みが根強いことが流出を招いている点も指摘された。例えば育児を女性の役割としてしまえば、孤立を生む。職場や社会全体で支える仕組みが欠かせない。
 これまでに好事例は多数生まれており、それを横展開していくことは有効だ。ただ、基本構想でも触れているように、好事例を単純にコピーするだけでは効果は得られない。歴史や産業など、それぞれ異なる地域の成り立ちを踏まえて、いかにチューニングさせるかがカギとなる。そこには地域の事情に詳しい金融機関が果たせる役割も大きい。
 稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生に向けた施策の一つには、地域金融力の強化が入った。金融機能強化法の延長などを盛り込んだ「地域金融力強化プラン」が年内にまとめられる見通しだが、地域金融機関が地域の課題解決に取り組みやすくなる施策も望まれる。2025.7.4


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