ニッキン抄 2020.1.10
「この無礼者！」と武士が町人を一刀両断。時代劇でよく見かける「切り捨て御免」である。江戸時代、武士には非礼な相手を切ってもよい特権があった▼だが、実際はイメージと違うらしい。正当性を立証する証人が必要など、筋が通った理由がないと厳罰の対象に。よって「抜かずの宝刀だった」との説が濃い▼この切り捨ては筋が通らない――。最近、預金者から寄せられた苦情だ。定期預金を中途解約したら利息がなくなったと。該当機関では解約時に約定利率（年0.01％）の半分（0.005％）が適用されるが、「小数点3位以下切り捨て」規定があるためだ。一方、普通預金は解約しても利息が付く。超低金利が招いた想定外だろう▼マイナス金利という“伝家の宝刀”を日本銀行が抜いて間もなく4年。先行したスウェーデン中央銀行は副作用が無視できず、適用約5年で解除した。庶民にもしわ寄せが及ぶもろ刃。長引くのは御免こうむりたいのだが。2020.1.10
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