ニッキン抄 2026.10.23
プロ野球で選手や監督として多くの功績を残した故野村克也さんは、江戸期の平戸藩主、松浦静山の名言「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を好んで使った▼相手の自滅で勝利が舞い込むことはあるが、敗北には理由がある。負けたときこそ原因を分析して反省し、対策を練る。名将は「その繰り返しが、常勝チームへ導く道となる」(「野村克也全語録」)と説く▼不正のまん延で行政処分を受けたプルデンシャル生命保険。特別調査委員会の報告書をめくりながら、「不思議の負けなし」の一節が頭をよぎった。極端な成果主義やコンプライアンスの欠如といった、失墜に至る理由が明白だったからだ▼同社を含め不祥事が発覚した金融機関の多くは、文化や風土の変革を掲げ、出直しを図る。だが、「大敗」から、信頼という「勝利」を手繰り寄せるための妙手はない。反省と対策を愚直に繰り返す覚悟が問われる。2026.10.23
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