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社説 新体制で解体的出直しを

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 かんぽ生命保険と日本郵便による保険商品の不適切販売の責任をとり、両社と日本郵政の3社長が辞任した。後任の日本郵政社長には1月6日付で増田寛也・元総務相が就いたが、コンプライアンス、ガバナンスなど問題は多岐にわたり、トップが交代しただけでは容易に信頼は取り戻せまい。グループ職員40万人一人一人が3カ月の新規保険販売停止など厳しい処分を重く受け止め、顧客本位の組織風土へ変わらなければならない。
 新体制が最優先すべきは不利益を被った顧客の救済とコンプライアンス徹底による再発防止だ。郵政グループでは、今回の不適切販売に限らず不祥事が目立つ。2009年にも多数の横領・着服が発覚し、ゆうちょ銀行が行政処分を受けた。巨大組織故の難しさはあろうが、言い訳にはできない。長年、不適切販売を見過ごしてきた監督官庁にも責任の一端はある。
 より難しいのが、政治の関与や旧郵政省人脈など、郵政特有の複雑なガバナンス構造だ。政治の介入に加え、全国郵便局長会、国内最大の単一労組・日本郵政グループ労働組合の発言力も大きい。顧客本位を軸に、ぶれない経営が求められる。
 また、民営化後も旧郵政省幹部が幅を利かし、民間出身トップとの間に情報遮断が起きていた。今回、かんぽ生命、日本郵便の社長に昇格した千田哲也氏と衣川和秀氏は、ともに旧郵政省出身。郵政公社時代から席を置くとはいえ、民営化に逆行する印象は拭えない。風通しのよい企業文化をつくり、現場職員と経営陣の意識や情報の差を解消できるかが問われる。
 資本構成上、民営化が不完全な状態にあることも少なからず問題だ。15年の上場後、国が売り出す日本郵政株は東日本大震災の復興財源に充てられることとされており、株価維持のプレッシャーがかかる。その一方で経営の自由度が限られるため、現場に無理な営業を強いることになった面もある。
 信頼を逆手にとった不適切販売は許し難い。増田社長が述べた「創立以来最大の危機」という意識を共有し、解体的出直しを図ってもらいたい。2020.1.10


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