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社説 津波避難経験を備えに生かせ

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 7月30日にロシア・カムチャツカ半島沖でマグニチュード8.7の地震が発生し、日本でも太平洋沿岸地域に広く津波警報・注意報が出された。これを受けて、多くの金融機関が海沿いの店舗を中心に臨時休業するなど迅速な対応をとった。各金融機関のホームページなどで当日に確認できた臨時休業店舗数は地域銀行、信用金庫、信用組合を合わせて450カ店を超えた。
 津波被害が甚大だった東日本大震災や能登半島地震の教訓が生かされたことは間違いない。さらに備えを高めていくため、訓練通りいかなかった点や、新たに見つかった課題はないか、点検してみることが重要だ。訓練とは異なる実体験は津波だけでなく防災対策を強化するうえで、有益な材料になろう。
 津波警報を受け、顧客や職員が安全な場所まで避難するまでにかかった時間や手順などを検証してみるのも一つだ。訓練で見込んでいた避難や顧客誘導の時間よりかかったようなら、何らかの見直しが必要になる。外訪活動中だった職員に確実に避難や待機指示が届いたかどうかを確認し、職員の安全確保にも万全を期したい。
 これまで想定していなかった課題が見つかった場合は、地域や業界で共有し、対策に漏れがでないようにすることが大事になってくる。
 今回は、津波到達までに時間的猶予があり、多くの金融機関は本部判断で臨時休業を決めたようだ。今後、想定される南海トラフ地震では、巨大津波が間を置かず襲来すると予測されている地域がある。早いところでは地震発生後2分とされている場所もあり、営業時間中に発生した場合は現場での判断が重要になる。
 地域によっては、渋滞や避難所の暑さ対策が課題に浮上した。地域の課題を含めてどう対応すべきか、現場ごとに考え、できる限り対策の実効性を高めたい。南海トラフ地震や首都直下地震は、いつ起きてもおかしくない。2025.8.8


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