ニッキン抄 2025.8.8
ハインリッヒ・シュリーマンは1822年、ドイツの田舎町に生まれた。古城の幽霊や財宝伝説を信じる、空想と現実の区別がつかない少年だった。誰もが架空と考えていたトロイア戦争の物語もかたくなに信じ、のちに遺跡を発掘し史実だったと証明した▼貧困のため14歳で雑貨店の小僧になり、働きながら10カ国語以上をマスターした。彼は自伝で外国語習得の「簡単な方法」を披露している。いわく、大きな声で多読し、短文を訳し、家庭教師に毎日習い、興味の対象を作文にして、添削を受け翌日暗唱する。これを簡単と言い切り、軽やかに実行できる非凡な人だった▼実業界で成功し莫大な資産を作ると、年来の夢のために41歳で引退。私費を投じて世紀の発見をした▼2023年の民間企業調査では、小学生の約4割は平日の読書時間がゼロだった。夏休みも佳境。シュリーマンの偉業は、7歳の時に父が贈った一冊の本がきっかけだった。2025.8.8
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