社説 警戒怠れない不動産高騰
不動産価格の上昇が目立ってきた。2025年の路線価は、標準宅地の平均で前年比2.7%上昇し、現在の算出方法になった10年以降では過去最大の伸びとなった。住宅価格も高騰。東京都心部では、中古マンションの1億円超えが珍しくない。バブルとは言えないかもしれないが、過熱感は漂う。住宅ローンを含め、不動産が関連する融資には慎重さが求められよう。
路線価の上昇は訪日外国人の増加で、宿泊施設建設や飲食店の出店が増えている影響が大きい。都市部だけでなく、地方にも上昇が広がっている。ただ、一部にある投機的な動きには注意が必要だ。なんらかの拍子に、流れが一気に変わることもあり得る。
足元では15年、16年に急拡大したアパート・マンション向け融資に再び増加の兆しがみられる。日本銀行の調査によると、国内銀行の個人の貸家業向け新規貸出額は25年1~3月に1兆1753億円となり、18年1~3月以来の1兆円超えとなった。若干減ったが、4~6月も1兆円台だった。
不動産を担保に融資する場合、地価の上昇分で融資可能額が大きくなる。担保だけに着目せず、事業や物件の収益性をしっかり評価して融資可否を判断することが重要だ。
住宅ローンでは物件価格の高騰による借入額増加に伴い、ペアローンの利用増加や、返済期間長期化の傾向が鮮明になっている。住宅金融支援機構が24年10月~25年3月に住宅ローンを利用した人に調査した結果によると、返済期間35年超の割合は25.5%となり、前回調査に比べ、4.6ポイント上昇した。ペアローン(収入合算含む)の利用割合も4割に迫る。
住宅機構の調査では金利改定の仕組みなどを十分理解していない人が少なくない。変動金利型では金利が上昇した場合、総返済額は増えるだけに、シミュレーションも示し、顧客が理解できるよう丁寧な説明が必要だ。2025.10.24
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