社説 AI時代、取材で期待に応える
新聞週間が10月15日から始まる。日本新聞協会が選んだ今年の新聞週間の代表標語は「ネット社会 それでも頼る この一面」だ。情報があふれるなかで、新聞の信頼できる情報に対する期待と受け止めたい。
一方で、新聞業界の置かれた状況が厳しいことは認めざるを得ない。日本新聞協会の調査によると2000年10月時点で7189万部(朝・夕刊セットは2部で集計)あった日刊紙の発行部数は24年10月に3053万部となり、四半世紀で約58%減少した。本紙も似た状況にあり、どうしたら読者離れを止められるのか模索している。
ここ数年で急速に進化した生成AI(人工知能)との向き合い方も考えなければならない。無断で対価を支払うことなく記事を生成AIに学習させ、検索サービスを提供するような行為は、日々取材して記事を書いている立場からすれば許しがたい。
一方で、記者のあり方も問われている。発表された内容を要約して記事にする程度であれば、記者と遜色ないレベルにある。差があるのは、解説や分析に加え、本音を取材できるか否かだろう。
金融機関でもAIを活用した業務効率化が進む。顧客からの問い合わせに対するAIの回答精度は格段に上がっている。ただ、年代を問わず、「金融商品やサービスについてネットで検索したことが、本当に正しいのか確かめるために来店する人は多い」(メガバンク役員)という。そこに期待されているのは金融のプロとしての知識に基づく信頼できる助言だ。
日本専門新聞協会が選んだ新聞週間のキャッチフレーズ、「ネットでは 届かぬ領域 専門紙 独自の視点で 未来を照らす」に表れているように専門紙にも類似の役割がある。本紙は従来以上に丁寧に取材に取り組み、金融界の発展と現場の読者に役に立つ信頼される情報提供を目指していく。2025.10.10
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