ニッキン抄 2024.12.20
冬の季語の一つに「古日記(ふるにっき)」がある。1日1ページずつ書き進め、年の瀬に残り少なくなった日記を指す。今年も残すところ10ページ余りとなった▼備忘録代わりに私事や時事ネタをつづった日記を見返すと、ギョッとする不祥事件がぽつぽつと目につく。野村証券元社員の強盗殺人未遂・放火事件、市場の番人たる金融庁・東証社員のインサイダー取引疑惑、三菱UFJ銀行元行員が貸金庫から十数億円相当窃盗など▼「忘年会」も冬の季語である。「一年の苦労を忘れるためのパーティー」というニュアンスは、海外にはない日本特有のものらしい。再度日記を眺めていると、痛々しい失敗のあれこれが呼び起こされる。人間の脳にはつらい記憶を思い出さないようにする機能があるとされるが、再発防止という宿題を負った組織にそれは許されまい▼「日記始(にっきはじめ)」は新年の季語となる。新しい日記には同じ痛手を繰り返さぬための申し送りをお忘れなく。2024.12.20
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