ニッキン抄 2025.6.20
子供のころ、空の大きな雲をみて「なぜ浮いているんだろう」と不思議に思っていた。雲は空気中の水蒸気がまとまった小さい水の粒の集まりで、上昇気流がこれを持ち上げているため浮かぶことができると気象庁が解説している▼しかし、雲となった後は浮いているように見えて少しずつ落下を始めているという。やがて水の粒が大きくなって雨となり、速度を増して地上に降ってくる▼「金利ある世界」では上昇気流に乗る金融界。一方で不祥事が相次いでいる。さきごろの架空融資の事案では組織に不正や間違いを指摘できない空気が蔓延(まんえん)していたようだ。ただ、SNSを使った一つの告発から落下が始まり、その一滴から最後には本降りの雨となって不正が発覚した▼ジメジメする梅雨は濡れて足場も悪く不快だが、昨今のコメ不足にもこの季節の雨は必要だ。作物と同じように金融界は不祥事から得た教訓を慈雨とできるか。見守りたい。2025.6.20
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