ニッキン抄 2021.9.3
女性で初めて国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんは、生前、日本の多様性に対する感性不足を危惧していた。「ほかの国や人々との違いを尊重して、そこから学ぶ機会を自ら閉ざしてきたのではないかとさえ思う」(聞き書・緒方貞子回顧録、岩波現代文庫)と述べている▼障がい者スポーツに学ぶところは多い。パラリンピックで日本が銅メダルを獲得した車イスラグビー。そのルールは、選手の障がいの程度や性別に配慮しつつ、誰もがチームで役割を発揮できるよう工夫されている▼昨今、企業経営でも多様性が重視される。コーポレートガバナンス・コードには女性・外国人・中途採用者の管理職登用について、自主目標設定を求める項目などが加わった▼形だけにしてはならぬが、「異質な他者を認め敬うなどということは、自然には起こりません」。多様性を創造性や社会革新を生む源泉とみていた緒方さんの忠告である。2021.9.3
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