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社説 マネロン対策加速の契機に

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 マネーロンダリング(資金洗浄)防止やテロ資金対策のために設置された国際機関の金融活動作業部会(FATF)は8月30日、わが国金融機関の審査結果を公表した。落第点の「観察対象国」指定は免れたが、3段階評価で2番目の「重点フォローアップ国」となり、通常より頻度の高い報告義務が課せられた。
 今回の第4次審査では、初めて各種ルールや予防措置が機能しているかの「有効性」も調査。結果、金融機関に対する監督や、金融機関によるマネロン・テロ資金対策の2項目はいずれも4段階で下から2番目の評価となった。メガバンクのリスク対応の高さを評価する一方で、その他の業態についてはリスクへの理解が不十分と結論付けた。
 各金融機関は自らが抱えるリスクに応じた対策を求められているが、報告書は画一的な対応が目立つとも指摘。多くの金融機関が、新たに導入・変更されたルールの履行期限を設けていない点や、取引監視システムの誤検知が多い点などにも言及した。
 金融庁は今回の結果を踏まえ、取引量の多い大規模金融機関を重点的に検査・監督する行政手法の強化を打ち出すと同時に、小規模金融機関を含む業界全体の底上げも進めていく構えをみせている。同庁が2020年秋に主催したサイバー攻撃の演習でも、信用金庫・信用組合は銀行に比べて対応の不備が目立った。
 政府関係者は「悪い奴らは隙間を狙ってくる」との懸念を強めており、規模に関係なく、自社の金融機能が犯罪・テロ組織に悪用されるリスクを極力低くする社会的責務は重い。ただ、多様化・巧妙化が進む金融犯罪の予防には膨大なコストがかかる。個別では規模の利益を享受しにくい地域金融機関は業態内でシステムの共同開発に取り組むなど、非競争分野での連携を深めることも検討すべきだ。2021.9.3


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