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ニッキン抄 2022.2.25

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 大正期の文豪、萩原朔太郎に「郵便局といふものは」で始まる詩がある。「港や停車場と同じく、人生の遠い旅情を思はすところの、悲しい、のすたるぢやの存在である」――。為替に電報と、人々が窓口に群がる光景への郷愁をつづる▼郵便局を庶民の生活の“拠り所”に見立てた詩人には、どう映るだろう。ゆうちょ銀行が1月から、硬貨の預入などで手数料を取るようになった▼有料化・値上げが相次ぐ当節。両替利用者には「最後の砦」だっただけに、大量の硬貨を扱う神社などでは困惑が広がる。と書きつつ、コツコツ貯めた我が家の500円貯金も……やはり手数料は痛い。貯金箱はやがて懐かしい存在となろうか▼金融界全体に及んだ有料化の波。背景にあるのは長引く超低金利による収益悪化。だが、黒田東彦・日銀総裁は先の国会で異次元緩和が地域金融機関の経営を圧迫しているとの指摘に「認めません」と言明。壮大な実験だったと、郷愁に浸れる日は遠そうだ。2022.2.25


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