社説 不動産融資のリスク管理徹底を
金融庁が不動産業向け融資に警鐘を鳴らし始めた。残高の伸びが目立つ一方で、リスク管理が不十分な金融機関があるとの認識だ。行き過ぎた不動産融資が不良債権化し、不況に陥った例は日本を含め世界各地でみられる。リスク管理が甘くなっては危ない。
日本銀行のまとめによると、2025年末の国内銀行の不動産業向け融資残高は118兆2918億円となり、前年比8.1%増加した。アパートローンに代表される個人の貸家業向け融資も3.1%伸びた。不動産融資が1年で30%を超える伸びを記録した80年代半ばのような過熱感はないものの、増加率は23年が6.6%、24年は7.1%と、じわじわ高まっている。
地価の上昇や資材価格・人件費の高騰により、不動産開発コストが上がっている影響は大きい。今後も1件当たりの融資額が拡大することが見込まれるだけに、案件ごとに担保や回収可能性をしっかり見極め、融資の可否を判断することが重要だ。不動産市況の悪化を想定したストレステストなどにより、リスク許容度を超えないよう適切な管理が求められる。
不動産が絡むバブル経済の生成は近年、しばしばみられる。日本の平成バブルも、地価の上昇を追い風にした過剰な不動産融資が一因になった。その後、不良債権問題が深刻化し、長い停滞を招いた。
08年のリーマン・ショックでは、低所得者向けの住宅ローンの返済が滞り、それを束ねて組成された証券化商品の価格が暴落した。足元では2月に英国で住宅ローン会社のマーケット・フィナンシャル・ソリューションズが破綻し、リーマン危機の兆候と重ねる向きもある。
不動産融資は、量も金利も稼げる。都市部での開発が増え、地元以外で不動産融資を伸ばす地域銀行もみられるが、行き過ぎれば、過去の二の舞いになりかねない。宴(うたげ)が終わった後、バブルだったと気づいても手遅れだ。2026.3.13
ニッキンのお申し込み
ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。
申込用紙をFAX(03-3237-8124)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。


