社説 難しさ増した日銀の舵取り
日本銀行は3月18、19日に開いた金融政策決定会合で政策金利を0.75%程度に据え置くことを決めた。2月末に始まった米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃の影響が見通せない状況だけに妥当だ。ただ、不確実要因が増え、次回会合(4月27、28日)以降の判断は難度が高まった。
イランへの軍事攻撃は、トランプ米大統領が当初見込んでいた早期収束は実現せず、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖した影響で原油価格が高騰。攻撃開始前に1バレル=60ドル台だった米原油先物WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は100ドルを挟んで荒い値動きとなっており、世界経済にも影響を及ぼし始めている。
原油価格が高止まれば、直接・間接的に幅広い業種への影響が懸念される。物価高の加速により消費が落ち込む恐れもでてくる。インフレと景気後退が同時に進行するスタグフレーション化すると対応は極めて難しくなる。
日銀の植田和男総裁は19日の会見で、インフレ抑制と景気下支えのどちらに重点を置いて政策を運営するかを問われ、「一概に答えるのは難しい」と述べた。
依然として日本が緩和的な金融環境にあることは間違いない。物価も賃金も上昇基調にあり、基本シナリオとして利上げ路線を維持するのは自然だが、景気下振れリスクは排除できない。
市場への目配りも欠かせない。足元では円安が進んでいる。日銀が利上げ見送りを続ければ、円安が加速しかねない。政府が再開したガソリンや軽油の補助金も、中東情勢次第で、いつまで続ける必要があるのか不透明だ。そのほかの景気対策が必要になってくれば、財政悪化懸念から長期金利が急騰することも考えられる。
4月会合までに中東情勢がどう動くか読めないだけに、経済・物価への影響を丹念に分析し、政府とも連携して難局に対応してもらいたい。2026.3.27
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