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ニッキン抄

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 「何卒 私に名誉を与へて下さい」。1936年、第2回芥川賞の選考委員だった川端康成のもとに、4メートルに及ぶ巻き手紙が届いた。差出人は太宰治。初回で選にもれ、今度こそ受賞をと懇願した“泣訴状”(きゅうそじょう)だ▼よほど賞が欲しかったのだろう。手紙には「私、こんなに頑張っています」と猛アピールする文面が続く。今でいう承認欲求である。ここまで強くなくとも、認められたい心理は誰しも備えていよう。が、昨今は若者を中心により強まっていると聞く▼背景にあるのがオンライン会議やテレワークの普及。コミュニケーション不足で、ちょっとした承認も得にくくなり、不安を感じやすくなっている。モチベーションへの影響に留意したい▼「感謝された職員を表彰」「サンクスカード導入」――。互いに貢献を認め合う動きは金融界でも広がる。「芥川賞をもらへば、私は人の情に泣くでせう」。いつの世にも通じる人の性である。2022.6.17


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