ニッキン抄 2022.12.23
師走は春を見据え人事を固める季節。12月に入り大手金融機関がトップ交代を相次ぎ発表した。厳しい環境下、限られた経営資源をどう配分するか。攻守のバランス感覚が問われる▼政治思想家のマキャベリは「必要に迫られた際に大胆不敵であることは、思慮に富むことと同じである」と書いている。ワールドカップカタール大会でドイツとスペインに勝利した日本代表は、堅守から攻撃に転じる果敢なフォーメーション変更や選手交代の采配で奇跡的な逆転劇を手繰り寄せた▼結果次第で称賛が批判に一変する境遇だが、森保一監督はトーナメント進出をかけたスペイン戦前日に「（世論の）手のひら返しは勝負の世界で当たり前」と。4年間、人事を尽くしたゆえの達観だろう▼金融庁でバーゼルⅢの交渉を仕切った氷見野良三元長官は後輩に「十戒」を残した。最後の一項は「修羅場は一瞬、準備は365日」。金融界の新指揮官らにも国際舞台での善戦を期待したい。2022.12.23
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