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社説 波乱・想定外に満ちた1年

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 金融界にとって2022年は、国内外でこれまでの“前提”が大きく崩れた波乱の1年となった。歴史に刻まれる出来事が相次いで起こり、本紙読者が選んだ「金融界10大ニュース」でもこうした世情を色濃く映す結果となった。
 「想定外」の発端は、2月に始まった「ロシア軍のウクライナ侵攻」(3位)だ。地政学リスクの高まりはエネルギーや食料価格の高騰を招き、世界的にインフレ圧力が加速。米FRB(連邦準備制度理事会)は3月、新型コロナウイルス危機対応で始めた「ゼロ金利政策の2年ぶり解除」(4位)を決定。大幅な金利引き上げに動いた。
 その結果、日米金利差を起因とするドル買い・円売りが急進。政府・日本銀行は9月に24年ぶりの円買い介入に踏み切るも、10月に約32年ぶりに「1ドル=150円を突破」(1位)した。米金利上昇は保有米国債の含み損拡大、円安や原材料高は内需型の取引先企業に大きな打撃となり、金融機関は緊張感の高い経営を強いられた。
 国内発の衝撃的な事件も起きた。「安倍晋三・元首相、凶弾に倒れる」(2位)は、アベノミクスを異次元金融緩和で支えた日本銀行のトップ人事にも影響を与えそうだ。23年4月に任期を終える黒田東彦総裁の後任選びは大詰めを迎え、金融界では「実務を熟知し、市場との対話にたけた人物」に期待が集まる。
 法制度も大きな転機を迎えた。4月には「民法改正で成年年齢が18歳へ引き下げ」(5位)られ、新成人は親の同意なしに金融サービス契約が可能に。若年層のトラブル防止へ金融リテラシー向上は急務だ。このほか、約60年ぶりの「東証、市場区分再編」(6位)や「全銀協、電子交換所で決済開始」(7位)は企業統治強化や手形電子化へ向けた大きな節目となった。
 迎える23年は、世界的な景気後退も予想され、不透明な経営環境が続く。さまざまな波乱の芽に目を凝らしたい。2022.12.23


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