ニッキン抄 2023.4.14
上司と部下の関係は常に社会の関心事だ。新たな環境に踏み出す人が増える春にかけ、その関係を解析する各種調査が発表される。結果に触れる度に「育った年代や環境が生む価値観のギャップはいつの時代もある」と感じる▼龍谷大学の調査結果が興味深い。「価値観が合わないとあきらめている」との回答は「やや感じている」を含めて上司、部下ともに約7割に達する。分析した水口正人教授は「あきらめることは良好な関係構築の第一歩」と呼びかける▼ある地方銀行の支店長はZ世代の若手部下を自宅に招き、単身赴任で磨いた料理の腕を振るう。私生活をさらけ出し、「まず自分を理解してもらうために始めた」という▼「諦める」は元来、ポジティブな意味を持つ。仏教の「諦観」は「明らかに真理を観察する」（広辞苑）という意味がある。理解し合うのが昨今の流れ。部下とは前向きな「あきらめ」から始めるのが手だろう。「諦めの悪さ」も試される。2023.4.14
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