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社説 地域をプロデュースする存在に

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 経営計画の更改期を迎えた地方銀行、第二地方銀行が、2023年度からスタートする新しい中期経営計画や長期ビジョンを相次いで発表した。規制緩和に伴って非金融業務がむしろ主流になりつつあり、銀行業務中心だったひと昔前の中計とは隔世の感だ。
 人口減少を主因とする地域経済の縮小に伴って、地域銀行のビジネス基盤は将来的に弱体化することが避けられない。その現実を踏まえ、各行の中計からは、あらゆる地域課題の解決に関与して主体的な役割を果たそうとする覚悟がのぞく。パーパスや目指す姿として「未来創造業」や「インフラ創造企業」を掲げた銀行もあり、いずれ金利が復活しても脱・銀行の流れは不可逆的だろう。
 その実現に向け、今後は人員の再配置が加速しそうだ。営業店事務のデジタル化を通じて事務部門の人員を減らし、コンサルティング業務や営業部門への再配置を明記する銀行がひときわ目立った。
 職員を事務から解放してリアル店舗をコンサルティングの場に変え、同時にデジタルチャネルへの投資を継続して対面と非対面のニーズに応える。これが現時点での最適解に映る。このビジネスモデルの実現には人的資本への投資が欠かせず、大半の銀行が数値目標を掲げて人材育成戦略を詳細に打ち出したことは今回の大きな特徴といえる。
 人口動態や技術の変化が激しいなかで、新しい銀行像を追求するには長期的な視点が欠かせない。10年先の長期ビジョンと一緒に3カ年中計を策定したり、中計の期間を長期化する銀行が多数派になったのは、短期的思考に陥るのを防ぐ意識の表れだろう。
 KPI(成果指標)として、各行が温室効果ガス排出量の削減やサステナブルファイナンス実行額を採用したのは時代の潮流。自行にとどまらず、県内の排出量削減率を目標に据えた銀行もある。銀行業から地域全体をプロデュースする企業への脱皮を望む。2023.4.14


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