ニッキン抄 2025.3.28
武者小路実篤はじっくり観察して描いた野菜や花の絵に、短い言葉をよく添えた。代表作の一つ「冬瓜(とうがん)と南瓜(かぼちゃ)」にはこう記してある。「君は君 我は我也 されど仲良き」。東京・調布にある記念館で開催中の企画展で見かけた▼二つの野菜は違った個性を持つ。でも互いの存在を認めたうえで寄り添いながら、ともに生きよう――。そんなメッセージが込められている、と学芸員に教わった。「君は君……」は、実篤が好んで使ったフレーズという▼書画に込めた思いとの逆行が心配だ。米国企業がDEI(多様性・公平性・包摂性)を後退させている。トランプ政権が方針転換したためだ。DEIの本質はさまざまな価値観を受容し、一人一人の個性を最大限に生かすこと。改めて考え、向き合う契機としたい▼多様性と言えば、来週から各職場で新入社員や異動者を迎える。異なるバックグラウンドを持つ人材が切磋琢磨(せっさたくま)し「共に咲く喜び」を。2025.3.28
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