ニッキン抄 2022.3.25
約100年前、米国で禁酒法が施行され、バーは軒並み閉鎖に追い込まれた。一方でもぐりの酒場が急増しマフィアが酒の密輸で莫大(ばくだい)な利益を得た。その代表的存在、アル・カポネを脱税で投獄したのは財務省の特別捜査班だった▼映画「アンタッチャブル」は捜査班を率いた実在のエリオット・ネスを描いた。カポネを挙げてシカゴを去る際、同法を守護する立場のネスに新聞記者が聞く。「禁酒法が廃止になる。どうしますか」。それに対し、普段は生真面目な財務官僚が「飲みにでも行くさ」と切り返す▼今週、まん延防止等重点措置が全面解除され、飲食店も通常営業や酒類提供を再開した。だが、この2年余りで多くの老舗や名店が姿を消した。感染力が強いステルスオミクロン株や第7波の懸念もあり、当面は緊張状態が続く▼禁酒法廃止の当日はお祭りムードで、バーや醸造所に行列ができたという。何の憂いもなく「飲みにでも行くか」と言える日常が待ち遠しい。2022.3.25
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