ニッキン抄 2022.6.24
走る、騒ぐ、けんかする。1970年代にファミリーレストランが登場するまで、子どもは外食産業にとって「招かれざる客」だった▼割れない食器、広い通路、ぐずる前に配膳するセントラルキッチン。従来の非顧客に狙いを定め、子連れに快適な環境にこだわった逆転の発想がブームを巻き起こした▼あれから半世紀、家族の姿は大きく変わった。婚姻件数は51万件に半減、共働き世帯は1177万世帯に倍増。世相を映し、ファミレスでも「おひとり様」や共働き夫婦の利用率が高まっている。政府は6月14日発表の男女共同参画白書で、結婚観や世帯構造の変化を「もはや昭和ではない」と表現した▼幼少期、和洋中の豊富なメニューから好物を選べるファミレスは特別な場所だった。皆婚時代の終幕も、個々人が自由に人生を選択した結果か。それとも時代にそぐわない社会制度の欠陥が原因か。後者なら、昭和を引きずる古い政治体質からの脱却こそが急務だろう。2022.6.24
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