ニッキン抄 2023.2.17
トルコ大地震の死者が3万人を超えた。崩れ落ちたビルの現地映像をみるたびにおののく。震災の一瞬前までは日常生活の場所だったはずだ。日本と同様、プレートの境界に位置する地震頻発国で、耐震基準は高い。だが運用が緩く、基準を満たさない建物が多い可能性が指摘されている▼28年前の阪神・淡路大震災では10万4千棟が全壊した。震災後の医師の調べでは、最初の1時間で3842人が亡くなった。死因の9割は圧死。うち8％が圧迫死、61％が窒息死だった▼その教訓から耐震改修促進法が制定された。東日本大震災では全壊が約13万棟に上ったが、90％は耐震強度でなく津波が原因だった▼建物の新築にはほぼ例外なくファイナンスを伴う。旧耐震基準で造られた家屋の耐震補強にも多額を要す。耐震性能の高い住宅のローン金利を優遇する銀行もあり、金融の力で全壊リスクを軽減してほしい。死傷者の数を確実に減らせる。2023.2.17
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