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社説 信頼の悪用は許されない

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 150人以上の社員・元社員による不適切な金銭受領などが明らかになったプルデンシャル生命保険が、3カ月間の新規契約募集停止などの行政処分を受けた。本紙報道によれば、金融庁幹部は「顧客の信頼を逆手にとった悪用は許されない」と断じたという。
 同社のガバナンスやコンプライアンス態勢に重大な問題があったことは疑いようがないが、金融機関職員一人一人が他人事とせず、金融ビジネスにおける「信頼」の重みを改めて考えてもらいたい。金融機関で発生する横領や着服なども「信頼」の悪用という点では共通する。
 プルデンシャルは、フルコミッション(完全歩合制)に近いライフプランナー(LP)が、高所得者層を中心に営業を展開する独自のビジネスモデルで成長してきた。LPは高額の保険契約を獲得できれば、高い収入が得られるものの、獲得できなければ、生活が困窮する。金融庁の検査では顧客の意向にそぐわない保険募集も約4000件確認されている。動機の大半は報酬を得るためだろう。
 こうした仕組みが不正を生む土壌にあった一方で、顧客が巻き込まれた背景には「信頼」があったに違いない。銀行などでは、不祥事防止の観点から、数年で担当者を変更するのが一般的だが、生保営業では、契約獲得後も同じ担当者と長いつきあいが続くことが多く、情も移りやすい。
 プルデンシャルの問題の根深さは、不適切な金銭受領が1990年代後半から続き、立て直しの機会があったにもかかわらず、経営陣が根本的な対策を講じなかったことだ。「稼ぎ」を優先させたと言われても仕方ない。
 過去をさかのぼると、金融機関でも「信頼」を傷つけまいと隠蔽(いんぺい)した不祥事が、後になって表沙汰になり、結果的に大きく信頼を失墜してしまった例がいくつもある。経営陣が高いコンプライアンス意識を持たなければ、信頼は保てない。2026.10.30


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