ニッキン抄 2023.6.30
矢は古代中国で非常に神聖なものだった。土地を清めるために矢通しが行われ、矢を放てない場所では弓の弦を鳴らした。今の日本にも魔よけのための「鳴弦（めいげん）の儀」が宮中儀式に残っている。大相撲の弓取り式には土俵を清める意味がある▼昔の中国で誓約のしるしとして用いられた「矢」は「ちかう」とも読む。誓う時のしぐさとして矢を折ったので、「誓」の文字には「折」が入っている▼昨日は株主総会の集中日だった。アクティビストからの提案件数は増加の一途。増配や自社株買いなどの株主還元を矢の催促である。株主提案に原則反対してきた機関投資家の対応は変わりつつあり、一定の賛成票を集める事例も出てきた▼とはいえ、株主還元を極端に増やせば成長投資の原資が細る。海外投資家の日本株買いが続けば物言う株主の存在感は高まるだろう。だが正々堂々と反論することだって対話の一つ。的を射た説明を尽くすしかない。2023.6.30
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