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社説 渋沢の精神に学び、さらなる進化を

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 7月1日は、本紙が提唱する「銀行の日」だ。1893年(明治26年)7月1日に銀行条例が施行されたことにちなみ、1993年に制定した。制定当時の銀行界には社会の厳しい目が向けられつつあった。崩壊したバブル経済の形成に銀行融資が関わっていたからだ。こうした社会情勢を鑑み、銀行の役割を再確認しようというのが制定の趣旨の一つになった。
 今回で「銀行の日」は30回を迎える。折しも今年の7月は渋沢栄一が創設した日本で最初の銀行「第一国立銀行」の開業から150年の節目にあたる。
 渋沢は銀行設立に向けた株主募集パンフレットに「そもそも銀行は大きな川のようなものだ。役に立つことは限りない」と記した。「銀行に集まっていないお金は、溝に溜まっている水や、ぽたぽた垂れているしずくと変わりないが、銀行を設立し、上手にその流れを開けば、お金が集まり、多額な資金となる。そのおかげで貿易も繁盛するし、工業も発達し、学問も進歩し、すべての状態が生まれ変わったようになる」(一部簡略)と、銀行設立の社会的意義を説いた。
 資金融通を通じて経済の発展に貢献するという銀行の役割は、今も変わらない。政府の骨太の方針に盛り込まれた日本経済再生のカギの一つでもあるスタートアップ推進では、エクイティだけでなく融資への期待もある。事業者の多くが、現代のスタートアップのような状態だった時代に銀行を設立した渋沢の精神に学ぶところは大いにあろう。
 当時と異なるのは、渋沢も目を向けていた社会のサステナブルな発展への貢献が、より強く求められようになったことだ。気候変動に代表される社会課題の解決に向けた取り組みはもはや不可欠と言っていい。投資家の目も厳しくなっており、これまで以上に持続可能な社会の実現へプラスの影響を与える働きが求められる。2023.6.30


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