ニッキン抄 2023.7.21
日本人の貯蓄好きは戦後の産物だ。敗戦で国庫が空っぽの政府は、焼け野原になった国土を復興するため預貯金を奨励。国民のタンス預金を吸い上げ、それを重厚長大産業に投資するグランドデザインを描いた▼その仕掛けの一つが、300万円までは利子が非課税になる少額貯蓄非課税制度(マル優)だった。バブル絶頂期の1988年に廃止されたが、今も個人金融資産の54%は現預金にとどまる▼小学生の夏休みの工作もいまだに貯金箱が人気という。税金には良くも悪くも人々の生活様式を変えてしまう力がある。新しい少額投資非課税制度(NISA)が来年1月から始まる。税制優遇拡充は朗報だが、より重要なのは金融教育だろう▼終戦直後に制定された「戦後ニ於ケル国民貯蓄増強方策」は貯蓄は美徳という意識を国民に植え付けた。丁寧な説明でそれを上書きするのは現政権の使命。そろそろ積年の宿題にめどをつける時期だ。2023.7.21
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