ニッキン抄 2023.9.22
街のたばこ屋を見かけることが少なくなった。許可を受けた小売店数は約23万店と直近のピークだった2001年から2割減った。コンビニを除けばもっと減少しているだろう▼「地方銀行の経営は街のたばこ屋と同じ」。20年ほど前、公的資金の注入を受けた地方銀行のかじ取りを任された頭取から聞いたことがある。人口減少(喫煙人口)、薄い利幅、高齢化――。課題は共通していた▼最も強調したのは地域とのつき合い方だった。たばこ屋の店主は街の事情通だった。客とコミュニケーションし、客は購入ついでに情報を聞いて帰る。そんな循環があった。地銀に重ねれば「顧客の情報を蓄積して生かす」となる。その頭取は原点を浸透させ、再建の道筋をつけた▼第2次岸田再改造内閣が始動した。力にするという「変化」にはあつれきが伴う。社会との意思疎通が不十分であれば衰退するのは政治も経営も同じだろう。2023.9.22
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