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社説 地銀発のインフラ構想に期待

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 引っ越しに伴う面倒な各種手続きを、たった一度のスマートフォン操作で完結できる。そんな便利なシステムを、地方銀行主導でつくる構想が持ち上がった。デジタル庁、全国市区町村、各地域の電力・ガス会社との連携を念頭に置いた、社会インフラを新たにつくる試みだ。地銀には地方自治体やインフラ企業と強いパイプがあり、全62行が連携すれば実現の可能性は高い。
 全国地方銀行協会は9月13日、「生活基盤プラットフォーム(仮称)」構想を発表した。市区町村への転出・転入手続き、電気・ガス・水道の停止・開始・口座振替、金融機関の住所変更手続きなどをワンストップで受け付ける。将来的には、妊娠・出産、子育て、死亡・相続などのライフイベントに伴う諸手続きを網羅することを目指すという。
 今回のアイデアは、地銀協会長の五島久氏が頭取を務める福岡銀行が出所のようだ。地銀協と水面下で構想を練り8月までに会員行への説明を終え、対外公表に踏み切った。今後は具体的なシステム設計や、地銀以外の参画者を増やす段階に入る。デジタルを活用してより良い地域社会をつくる挑戦であり、五島氏のリーダーシップに期待したい。
 地銀発のシステムが国内標準になった前例はある。1968年に地銀間の為替取引ネットワークである「全国地方銀行データ通信システム」が稼働。その後継プロジェクトに都市銀行など他業態が参加し、73年に金融界共通の全銀システムが出来上がった。
 今回の構想が実現すれば、銀行は店頭事務量を減らすことができる。単純な事務作業をオンライン化し、対面営業は専門性の高い相談業務に特化していく流れが今後強まるだろう。それは他業態でも同様であり、顧客と金融機関の双方にメリットのある非競争領域では積極的に手を組むべきだ。地銀協は他業態にも参画を働きかける意向を示しており、幅広い業態の連携が実現することを望みたい。2023.9.22


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