ニッキン抄 2023.10.6
今年度の租税負担率は28.1%。社会保障を含めると46.8%。他の先進国も似たりよったりで国民所得の40~60%が税金だ▼メソポタミア、中国、エジプト、ギリシャなど古代文明はいずれも「十分の一税」だった。異なる時代や地域で同じ10%に行き着いたのはなぜか。一部の学者によれば、人間には10本の指があり、計算する時に指を使ったからだという▼いくら納めようと、礼の一言もないのが税というもの。ところが15年前、自分で選んだ納付先から返礼品がもらえる稀有(けう)な税制ができた。市長らの礼状も届く。そのふるさと納税が10月から改定され、返礼品の減量や寄付額の値上げが相次いだ。制度利用者にとっては「改悪」と映る▼総務省の言い分にも一理ある。だが庶民の楽しみを減ずる前に、国が見直すべき支出や税目が他にないとは到底思えない。片手分納めれどなお、わが暮らし楽にならざり、じっと残りの指を見る。2023.10.6
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