ニッキン抄 2023.11.24
26年前の今日、山一証券の経営が破綻した。最後の社長、野澤正平氏は記者会見の終盤に突然立ち上がり、「社員は悪くありませんから」と号泣した。真相究明のために社内調査委員会が設置されたのはその1カ月後。嘉本隆正常務を委員長に社内メンバーは7人。途中から社外の弁護士2人が加わり、後の第三者委員会のモデルとなった▼社外の一人、國廣正氏は当時、弁護士仲間から「洗いざらい書いたら企業からの依頼はなくなるよ。金融業界から永久追放される」と忠告を受けた。結果は逆だった。破綻20年の特集の取材でお会いした際、「嘉本さんと二人三脚だから（障害を）突破できた」と繰り返した▼今年を振り返るには少し早いが、個人的に1年の世相を表す漢字一字を挙げるなら「傷」だろうか。企業不祥事が相次ぎ、大手の看板にキズが付いた▼多くの関係者の人生を変えた11月24日は山一の「命日」（國廣氏）。たとえ時間はかかっても、傷は癒えると信じたい。2023.11.24
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