ニッキン抄 2025.4.25
人質を取ってビルに立てこもる相手からの電話を「忙しい」と一蹴し、一方的に受話器を置く。周囲の動揺をよそに、平然と「またかけてくるよ」。直後、電話のベルが鳴る▼1998年公開の米映画「交渉人」の一幕。殺人のぬれぎぬを着せられた人質交渉人の警官が、別の交渉人とのやりとりを通じ真相に迫る。手の内を知る者同士の駆け引きが見どころ▼こちらはそんなのんきなことは言っていられない。米国との関税交渉が始まった。金融界のみならず世界が注目のディールにトップバッターで臨んだ関係者の重圧はいかほどか。行方は見通せないが、相手は世界一の経済大国。しかもリーダーの行動は予測不能。一筋縄でいかぬのはやむを得ない▼件の映画では主人公が交渉の鉄則を語る場面がある。「『ノー』は使うな」。ただ、トランプ氏の発言には首を傾げたくなる誤解も目につく。鉄則を破っても言うべきことは言わねばなるまい。2025.4.25
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