ニッキン抄 2025.12.12
福島県二本松市で農業を営んでいた近藤恵さんは、福島第一原子力発電所の事故で廃業を余儀なくされた。事故から10年後の2021年。農地の上に太陽光パネルを置き、農業をしながら発電もするソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)で復帰する▼ドキュメンタリー映画「陽なたのファーマーズ フクシマと希望」(小原浩靖監督)は、近藤さんら「新しい時代の兼業農家」の奮闘を描く。野菜や果物を育て、再生エネルギーで収入も得る。その仕組みには可能性を感じた▼期待が膨らんだのは、原発再稼働の知らせが続いたからかもしれない。需要の増大、脱炭素、料金高騰。経済活動や個人の生活からも、再稼働は理にかなっているようにも聞こえる▼しかし、15年近くたっても自宅に戻れない人がいる。「原発事故は根こそぎさらう」。映画で近藤さんはそう話す。理にかなっていても、悲劇から目を背けるわけにはいかない。2025.12.12
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