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社説 銀行かたる詐欺被害防げ

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 地方銀行などをかたって企業に自動音声通話で電話をかけて偽サイトに誘導し、インターネットバンキング(IB)のログイン情報を盗む「ボイスフィッシング」の被害が急増している。犯罪者は盗んだ情報を使い不正に送金する。片山さつき金融相が12月2日の閣議後会見で注意を呼び掛けたが、金融機関も取引先への注意喚起を徹底してもらいたい。金融機関の信用を悪用する犯罪の拡大を許してはならない。
 数千万円の資金が盗まれれば、決済や資金繰りに支障を来す企業があるかもしれない。ホームページでの呼び掛けにとどまらず、訪問時に直接伝えるなど、できる限り対応していきたい。
 企業を狙ったボイスフィッシングは2024年秋ごろに目立って増加。被害額が数億円にのぼった例もあり、警察庁が注意を促していた。その後、被害は減少していたが、11月中旬以降、急増している。福岡銀行は11月28日時点で、取引先6社で7900万円の被害があったことを明らかにした。累計被害額が数億円に達した銀行もある。
 各金融機関では、法人向けIBで当日扱いの都度指定他行宛て振り込みを停止するなどの措置を講じている。利便性の低下はあろうが、被害を防ぐためには必要な措置だ。
 取引先には、不審な電話にはそもそも応じないことや、銀行をかたる電話があった場合には、一度電話を切って、折り返し確認するなど、基本的な対応の徹底を促すことが重要だ。被害事例を紹介することも警戒意識を高めてもらうためには有効だろう。
 年末が近づき、慌ただしくなる。ボイスフィッシンングだけでなく、特殊詐欺などの犯罪も12月は増える傾向がある。昨年末から今年初めにかけては、サイバー攻撃が相次ぎ、一部のサービスが利用できなくなった金融機関があった。いずれの犯罪も手口は巧妙化しており、対策意識を高めておきたい。2025.12.12


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