社説 最悪の特殊詐欺被害が心配だ
特殊詐欺被害が深刻だ。警察庁が2月12日に発表した2025年の特殊詐欺とロマンス詐欺、SNS詐欺の合計被害額(暫定値)は3241億円となり、過去最悪だった24年より1250億円(62%)も増えた。若年世代の被害が拡大しており、これまでの高齢者を主眼にした対策だけでは、被害を止めるのが難しくなっている。
特殊詐欺に限ると25年の被害額は1414億円で、前年の約2倍に膨らんだ。警察官をかたり捜査名目でお金をだまし取る手口が顕著に増えた。ニセ警官詐欺の被害認知件数は30代が最多で、20代が続き、特殊詐欺は高齢者を狙う犯罪とはいえなくなった。全世代へ注意喚起を強めていきたい。学校や職場での金融教育の機会を捉えて、深刻化する被害の実態と注意すべき点を伝えることも一つだ。
特殊詐欺被害者がお金を送った手段ではATM・インターネットバンキング(IB)・窓口経由の振込型が820億円で6割を占める。金融機関の声かけが浸透し、窓口経由の被害額は61億円と最も少ない。一方、窓口と異なり、非対面のため、振り込みに待ったをかけるのが難しいIBは495億円で最も多く、被害額もATMに比べ高額になる傾向がある。
高齢者を対象にしたATMでの1日の出金・振込額の制限は広がっているが、IBを一律に制限すれば、利便性の低下が大きいだけに現実的ではない。だまし取るお金の受け皿となる不正利用口座対策の強化が求められる。
住信SBIネット銀行は、不正の可能性が高いと判断された場合のみ、顔認証を求めて不正利用を防ぐ対策を講じる。全国銀行協会が中心になって進めている不正に利用された口座の情報を共有し、被害拡大を防ぐ仕組みの構築も可能な限り早期の実現が望まれる。新たな手口が次々出てくる。警察とも協力し、安心して金融取引ができる環境を守らねばならない。2026.2.27
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