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社説 内定者に将来ビジョン語ろう

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 全国の金融機関で10月1日、来春入社予定者の内定式が一斉に開かれる。金融機関は超低金利や人口減少による地域経済の低迷など逆風が続くだけに、社会・地域で果たす役割や自社の将来ビジョンを明確に示し、内定者の不安を取り除いてほしい。同時に「就活ルール」の廃止に備え、採用形態の柔軟化も検討する必要がある。
 就職活動サポートのライボが来春卒業予定の学生に行った調査では6割が内定先に「不安」を抱くと回答。「他に良い企業があるのでは」などの理由からだ。超売り手市場に加え、人員削減や経営環境の厳しさが伝えられる金融界では内定辞退の増加も危惧される。安定志向で金融機関を受けた学生が公務員に流れるケースも増えている。
 内定者には事業戦略や地域経済・社会に貢献できる意義をしっかりと伝え、「働きがい」を感じてもらうことが重要だ。デジタル人材などの採用を急ぐメガバンク幹部は「多様な能力や個性を持つ人材に活躍の場を提供すること」が銀行で働くインセンティブになると訴える。
 内定辞退を防ぐために内定者懇談会の開催や電話、メールなどでのフォローは欠かせない。加えて最近は「内定者アプリの活用」「Skype(ビデオ通話サービス)面談」など接触頻度を高める工夫も見られる。学生とのリレーションを強めることは入社後のミスマッチ解消にもつながるはずだ。
 一方、採用ルールの見直し問題も浮上してきた。日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長が就活指針の廃止に言及したのを受け、政府と大学が新たなルールづくりを協議する運びとなった。多くの企業で守られていなかったためだが、新卒一括採用が時代に合わなくなっているのが実態。今後は採用の自由化も予想され、人材の獲得競争が激化するのは必至だ。
 採用難の地域金融機関は一括採用に頼った雇用形態を見直さざるを得ない。インターンシップなどの入社前情報公開の充実や通年採用といった多様な取り組みが求められる。組織の競争力を左右する人材獲得のあり方にも一段の工夫が欠かせない。2018.9.28


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