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社説 令和幕開け、新常識つくれ

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 平成が終わり、令和が幕を開けた。喫緊の課題だった10連休は大きな問題なく乗り切ったが、今後に目を向ければ、減少する人口、低金利の長期化、新たな競争相手参入など対処すべき課題は山積みだ。克服するには従来の常識・スピードを超えた対応が求められる。また、平成の間に本来、金融業の常識であったはずの顧客本位が後退したようにもみえる。新時代の幕開けを、金融機関にふさわしい信頼を再構築する出発点としたい。
 金利の先行きや、技術革新の今後を確実に見通すことは難しい。その一方で、人口減少や高齢化などの変化は確実に起きる。そしてそのスピードは技術革新同様に、今後さらに増していく。変化に乗り遅れず対応していくには意思決定を早めることが重要だ。時には、トップダウンで強力に進める必要がある。
 働き手の中心が1980年以降に生まれ、2000年以降、社会人になったミレニアル世代に移っていくことも明らかだ。デジタルネーティブとも呼ばれる新しい価値観を持つ世代の意見やアイデアを素早く吸い上げることが、従来の殻を破るカギとなる。性別・年齢を超えて意見をぶつけ合い、新たな価値創出に挑みたい。顧客本位の実現と評価は密接に関係している。徐々に進み出したノルマ廃止など目標設定・評価方法の見直しも必要だ。
 政府には迅速な規制改革を求めたい。利用者保護を疎かにはできないが、社会の速い変化に規制が追いつかない状況が生まれる恐れがある。また、縮小が見込まれる地方経済を支える役割を地域金融機関に求める以上、一定の不動産仲介業務を認めるなど、その取り組みを後押しする環境整備が不可欠だ。
 金融商品取引法や個人情報保護法など平成に導入された法・規制に伴い生まれた金融界の常識は、利用者からみれば首をかしげたくなる部分がある。金融庁を向いた対応も散見された。その最たる例かもしれない金融検査マニュアルは、偶然とはいえ、令和幕開けに合わせるかのように廃止される。真に顧客目線で、新たな常識を作っていくチャンスが巡ってきている。2019.5.10


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