社説 設立70周年を迎えて
日本金融通信社は8月27日、設立70周年を迎えます。長年のご愛顧に心より感謝申し上げます。
70年の間に金融界に期待される役割や課題は大きく変わってきました。戦後復興、高度経済成長期は広く預金を集め、産業に資金を供給することが大きな役割でした。その後のバブル経済の生成・崩壊では、金融機関の破綻も相次ぎ、行き過ぎた融資姿勢が批判を浴びました。
当時、不良債権の早期処理を紙面で訴えたものの、問題先送りが目立ち、長い停滞を招いたことは、社史に書き記し、専門紙としての報道のあり方を考える教訓の一つにしています。
日本経済は今、失われた30年を経て、再成長の軌道に乗れるかどうかの岐路にあります。また、進む人口減少と向き合いながら、地域社会の持続可能性を高められるかも問われています。業務範囲が拡大した金融機関には、人手不足が深刻化するなか人材紹介やデジタル技術の活用、国内市場縮小を克服するための販路拡大支援など、資金仲介以外の機能発揮が強く求められるようになりました。
新聞業界を取り巻く環境も大きく変わりました。インターネットメディアや、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の普及により、紙の新聞の読者離れが顕著なことは認めざるを得ません。一方で、生成AI(人工知能)を使って容易にフェイクニュース・動画が作成できるようなり、信頼される情報の価値は、今まで以上に高まっていると認識しています。
当社の編集綱領は「ニッキンは、金融機関が国民大衆とともに発展していくために存在する。そして、金融機関を利用する側の立場に立った編集を基本とする」です。今後とも原点を忘れず、金融機関の皆さまの課題解決の一助になるべく「身近で役に立つ」そして「信頼に足る」情報やデータの提供に努めていくことを約束します。2025.8.22
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