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社説 報告書を冷静に受け止めよ

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 金融審議会の市場ワーキング・グループが6月3日にまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」が物議を醸している。年金のみに頼る高齢夫婦の平均的姿は毎月約5万円の赤字で、30年で約2千万円の金融資産取り崩しが必要になるとの試算に、野党から「年金制度の破綻を認めたものだ」と批判が殺到。麻生太郎金融相は「正式な報告書としては受け取らない」とし、自民党も「誤解を招く」と撤回を求めるなど与党は火消しに躍起になっている。表現の是非はともかく、長寿化時代に資産形成の必要性が高まるとしたのは妥当だ。金融界は冷静に受け止め、資産形成支援の取り組みを進めるべきだ。
 公的年金制度について国民のなかには、以前から漠然とした不安がある。明治安田生命保険が2018年春入社の新入社員を対象に貯蓄の目的を聞いたところ31%が「老後の生活資金のため」と回答。その割合は8年前から2ポイント以上高くなった。
 年金に加えて一定の金融資産を持つことは豊かな老後につながる。ただ、現在の低金利環境で預貯金だけで目指す資金を用意するのは苦しい。公的年金に代表される公助に加え、積立投資や個人年金など自助と企業年金など共助の充実も必要だ。
 とりわけ金融機関には自助・共助意識を高めるうえで不可欠な金融リテラシー向上への取り組みが求められる。また、報告書にもある通り個々人が自身の力だけで多様な商品・サービスを選ぶことは容易ではない。的確な助言が必要となる。その有力な担い手は身近な金融機関だ。顧客本位に徹し、アドバイザーの役割を発揮してほしい。
 共助分野でも18年に導入された確定拠出型年金の簡易企業型や中小事業主掛金納付制度の普及はこれからだ。
 高齢化を見据えた商品・サービス開発も期待される。4月に慶應義塾大学と野村ホールディングス、三菱UFJ信託銀行が設立した日本金融ジェロントロジー協会の初会合には銀行、証券、保険業界から14社が参加した。知見を持ち寄り人生100年時代にふさわしいサービスを実現してもらいたい。2019.6.14


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