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社説 口座管理は対価求める局面に

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 入出金が一定期間ない不稼働の預金口座に手数料を課す動きが金融界で広がり始めた。りそな銀行に続いて地域銀行や信用金庫で導入が相次ぎ、メガバンクでも三菱UFJ銀行が検討に入った。口座の維持・管理には相応のコストがかかっているが、預金者の反発を招く有料化には踏み切れずにいた。マイナス金利の長期化による収益低下で事業モデルの転換が急がれるなか、適正な対価を求めるのは検討に値する。その際は利用者への丁寧な説明が欠かせない。
 金融機関は口座を維持・管理するため、システムや通帳の印紙税など一口座当たり年間2千~3千円のコストを負担しているとされる。近年はマネーロンダリング(資金洗浄)対策の費用などもかさんでいる。これまで無償で提供してきた決済サービスが経費を圧迫してきているのは確かだろう。
 日本銀行によると、米国も10年前までは約8割の銀行が手数料無料の口座を提供していたが、今では約4割に半減。リーマン・ショック後に低金利環境が長期化するなかで手数料体系を積極的に見直した結果だ。
 ただ、口座手数料はあくまで「サービスの対価」との観点で顧客の納得を得ることが重要だ。預金口座は自動受取・自動支払サービスなど優れた機能を持ち、キャッシュレス支払いも含むさまざまな決済サービスに欠かせない金融インフラ。金融界全体でコストに見合う受益者負担を訴えていく必要がある。
 日常的に使われない不稼働口座に手数料を導入している金融機関は、既存口座については利用者に不利益となることから、新規口座を対象に2年間入出金がない場合に徴収する。預金残高がゼロになれば自動的に解約するため、管理コストの回収だけでなく口座の不正利用・転売も防止できる。同様の動きは広がる可能性が高い。
 とはいえ手数料を単に見直すだけでは“利用者への負担転嫁”とも受け取られかねない。地域金融機関の間では他行メイン口座への取引集約などを誘発するとの危惧もある。見直しに際しては、付加価値サービスの充実も重要な課題となろう。2019.12.13


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