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社説 銀証の壁は顧客目線で見直せ

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 同一グループ内の銀行と証券会社による顧客情報の共有を制限する「ファイアーウォール(FW)規制」の見直しが金融庁で議論されている。規制緩和によって銀証一体でより質の高い金融サービスが提供できるようになるのは望ましい。銀行界と証券界という対立軸でなく、顧客利便向上や資本市場活性化の観点で、課題を含め見直し議論を進めてほしい。
 FW規制は業態別子会社方式で銀証の相互参入が解禁された1993年に導入。銀行による融資先への優越的地位の乱用を防ぐ目的だった。ただ、近年は企業の資金調達手段が多様化。大手行グループからは迅速に最適な商品・サービスを提案するうえで規制が妨げとの声も聞こえる。
 特にコロナ禍では取引先の事業承継・M&A(合併・買収)支援を強める必要がある。グループの銀証間で顧客情報を適切に利活用できれば、ワンストップで金融仲介力を発揮できる。また、現預金を中心とした約1950兆円の家計金融資産を資本市場にシフトさせる契機ともなろう。
 欧米ではFW規制は見当たらない。外資系金融機関は規制対応コストによって、わが国にアジア太平洋地域の統括機能を置けない理由の一つとなっているという。国際金融都市を実現するという側面からも規制見直しの時期にきていよう。
 銀行界の要望を受け海外法人顧客の情報共有は規制が外れる方向が決まったが、国内法人は独立系証券会社から慎重意見が根強い。「銀行は地位が相対的に高く顧客が声を上げにくい構造問題がある」と指摘する。懸念を払(ふっ)拭(しょく)するためにも欧米金融機関の事例も参考に、実効的な弊害防止措置の確保が重要となる。
 FW規制見直しに際しては、その大前提となる顧客本位の業務運営の原則を徹底するのは言うまでもない。2021.5.14


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