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社説 信金法制70年、個性失うな

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 6月15日、信用金庫法制定70年を迎える。同法が公布された1951年は信用組合から信金への業態転換を認める経過措置がとられ、転換期限の53年に信金数は561金庫を数えた。その後、幾度もの不況や金融危機を経て、2021年3月末現在の信金数は254金庫に集約された。店舗数は7181カ店、常勤役職員数は10万人。いずれも金融業態別で最多の地方銀行(62行)とほぼ肩を並べる拠点数とマンパワーを抱え、各地域で大きな役割を担っている。
 人口減少やデジタル化で、有人店舗の来店客数は減少傾向が鮮明だ。店舗網の見直しは金融界共通の課題だが、販売チャネルで対極にあり勢いづくインターネット銀行と方向性が近づけば、自らの存在意義を薄めることになる。ITを活用して業務効率化や利便性向上を図りつつ、最大の強みであるフェース・ツー・フェースでの顧客接点を維持・強化して、新たな付加価値に変える工夫が必要だろう。
 コロナ危機を乗り切るために政府が主導した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)は、金融界がめぐらす緻(ち)密(みつ)な店舗網が必ずしもレガシーコスト(負の遺産)とはいえない側面も証明した。民間金融機関は約1年で100万件超のゼロゼロ融資を実行。信金は件数ベースで最大の貢献をした。苦境にある飲食業向けの貸出残高(20年12月末)は業界全体で前年比48%、小売業向けも21%増えた。手間のかかる小口融資は経済合理性の観点から敬遠されがちだが、中小企業専門金融を自認する信金界の面目躍如である。
 この70年で規制緩和が進み、提供する金融サービスは銀行との同質化が進んだ。アイデンティティーを維持するために、非営利、相互扶助、経済的弱者救済などの理念や特性を発信し続けてほしい。会員や利用者の共感を得る努力の惜しみない発揮を望む。2021.6.11


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