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社説 内部管理体制に抜本的メスを

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 SMBC日興証券の相場操縦事件は、副社長ら幹部が相次ぎ逮捕され、法人としても起訴される異例の事態となった。大手証券会社が株の相場操縦罪に問われるのは初で、証券市場の信頼を大きく損ねた責任は重大だ。不正取引に対する社内チェック体制が機能不全に陥っていると言わざるを得ない。内部管理体制を抜本的に改めない限り、信頼回復は望めない。
 不正の舞台となったのが、取引時間外に大株主から株を買い取って投資家に売却する「ブロックオファー取引」。特定銘柄の終値が下がり過ぎないよう自らが大量の買い注文を入れ、不当に株価を維持した疑いが持たれている。
 同取引には規制がないが、証券界では疑義を持たれないようブロックオファー銘柄を自己売買しないのが通例だ。他社では同取引の執行日に対象銘柄の売買を禁じたり、株式売買部門と情報遮断したりするなど社内ルールを設けているという。SMBC日興はこうした不正を防ぐ手段を講じていなかったとされる。
 近藤雄一郎社長は「内部管理体制上の不備があったことは否定できない」と認めた。同社はここ10年間で、元執行役員と元社員がインサイダー取引への関与で相次ぎ逮捕されている。今回の相場操縦事件の真相究明もさることながら、リスク管理や法令順守体制の問題点を徹底的に洗い出すことが必要だ。
 証券界では「貯蓄から資産形成へ」を訴え続け、老後資金への不安などから株式投資に目を向ける人が増えつつある。また、4月4日には東京証券取引所が新市場区分に移行。内外から投資マネーを引き寄せるタイミングなだけに、株式市場への信頼を裏切った今回の不祥事は残念。SMBC日興は市場への影響力が特に大きい大手証券としての責任を自覚し、再発防止を徹底することが急務だ。


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