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社説 変革恐れず“不変の責務”を

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 7月1日は「銀行の日」。129年前(1893年)の今日、銀行条例が施行されたことにちなみ、本紙が1993年に制定した。この機会に、銀行の再編の歴史を少し振り返ってみたい。
 銀行条例施行の4年後、日本は先進国に追随し金本位制に移行したが、直後に深刻な不況に直面。特に、1901年の不況では全国で預金の取り付け騒ぎが起こり、支払い停止に陥る銀行が続出した。政府は小規模銀行の乱立が原因の一つとして、銀行数を抑制する方針に転換。当時は1800を超す地方銀行が存在したが、現在まで続く減少傾向はこの時を起点に始まった。
 続く試練は27年の昭和恐慌。再び政府は弱小銀行の整理に動き、36年に「一県一行主義」を打ち出した。45年までに当時の地方銀行はほぼ一県一行体制への移行が実現した。
 戦後は業容拡大が続いたが、バブル経済崩壊後に構造不況に突入。特に第二地方銀行は89年に68行中66行が相互銀行から普通銀行に転換した直後にバブルがはじけ、90年代の平成金融危機で経営破たんや吸収合併が相次いだ。
 転機は98年、独占禁止法改正で金融持ち株会社設立が解禁された。その後はグループ化による経営統合が主流となり、最近は独立性を保ったまま包括的提携を結ぶアライアンスも相次ぎ誕生している。
 現在、国内銀行の7割を地域銀行が占めるが、淘汰(とうた)の波を乗り越えてきた現存の99行は、設立時から一貫して「地域の発展に貢献する」旨を経営理念として掲げてきた。その使命は今後も不変だろう。
 ただ生産年齢人口が急速に減っていく逆風下では、従来の常識にとらわれない柔軟な発想も求められる。実際、積年のライバルが非競争分野で手を組む事例も増えている。不変の責務を果たすためには、時代に即して自らを変革し続ける覚悟が必要だろう。2022.7.1


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